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「押合い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

押合いの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
赤い蝋燭」より 著者:新美南吉
「ほう、すばらしい」 「これは、すてきなものだ」 鹿や猪や兎や亀や鼬や狸や狐が押合いへしあいして赤い蝋燭を覗《のぞ》きました。すると猿が、 「危《あぶな》い危....
鎮魂歌」より 著者:原民喜
《かなた》にあった。「世なおしだ! 世なおしだ!」と人間の渦は苦しげに叫びあって押合い犇《ひし》めいている。人間の渦は藻掻《もが》きあいながら、みんな天の方へ絶....
爆弾太平記」より 著者:夢野久作
春先から対州の沿岸を洗い初める暖流に乗って来た鰤の大群が、沿岸一面に盛り上る程、押合いヘシ合いしたために出来たコスリ傷だ。いわば対州鰤の一つの特徴になっていたく....
冥土行進曲」より 著者:夢野久作
ストルを奪い取って膝を突いたまま見まわすと、ほかの連中は巨漢を残して狭い路地口を押合いヘシ合い逃げて行った。その後から背後の扉を飛出したタキシードと用心棒連が、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
進行していきましたが、あとからあとからと詰めかける人で、いくら静かにしても自然、押合いの気味になります。上人は、また一人の男に向って、 「これこれお前は、どうも....
空襲警報」より 著者:海野十三
大将は、真赤になって怒りだした。 「それがね。めいめい大きな荷物をしょいこんで、押合いへし合いなんです。女子供が泣き叫ぶ、わめく、怒鳴る、その物凄いことといった....
南国太平記」より 著者:直木三十五
生死の念を放擲《ほうてき》して、夕立の中へ、駈込むのだのう。濡れまいとするから、押合いになるが、十死一生と観ずれば、夕立何物ぞ」 そう叫んだ途端、格子が開いた....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
岸には大八車にべか車、荷駄《にだ》の馬、負子《おいこ》などが身動きもならぬ程に押合いへし合い、川の岸には山と積上げられた灘の酒、堺の酢、岸和田の新綿、米、糖《....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
てあります。その辺まで鳩が下りています。 お堂へ上る広い階段は、上り下りの人で押合いの混雑で、その中を分けて行くのです。大きな賽銭箱へおひねりを投入れてお辞儀....
深川の唄」より 著者:永井荷風
雑《おおこんざつ》。後《うしろ》の降り口の方《ほう》には乗客が息もつけないほどに押合い今にも撲《なぐ》り合いの喧嘩《けんか》でも始めそうにいい罵《ののし》ってい....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
が店を並べているので、もともと自動車の通らない道幅は猶更狭くなって、出さかる人は押合いながら歩いている。板橋の右手はすぐ角に馬肉屋のある四辻《よつつじ》で。辻の....