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「押返〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

押返の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
水の三日」より 著者:芥川竜之介
ときくと、平五郎さんだとかなんとか言う。「苗字《みょうじ》はなんというんです」と押返して尋ねると、苗字は知らないが平五郎さんで、平五郎さんていえば近所じゅうどこ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
て……なあ、見事丸官を蹴て見しょう、と命をかけて思うたに。……先刻盞させる時も、押返して問うたもの、お珊、お前へ心中立や、と一言いうてくれはらぬ。 一昨日の芝....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
まで一心になって、迫りくる毒瓦斯から脱れようと人々は藻掻いたが、一尺逃げると二尺押返えされ、一人を斃すと、二人が押して来、そのうちに、咽喉のあたりが、チカチカ痛....
」より 著者:岡本綺堂
の道中で商売をしている以上、それで素直に引下がる筈のないのは判り切っていた。娘は押返して、買ってくれと言った。梅次郎と義助は買うような、買わないような、取留めの....
白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
、おそらく嫁にくる者はありますまいと、わたしは笑いながら答えますと、伊佐子さんは押返して、それでも、もし奥さんになりたいという人があったらどうしますと言いますか....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
母の惑いを解こうとした。こちらが思うほどでもなく、娘は案外に平気でいるので、母も押返して何ともいい様がなかった。彼女が今日たずねて来たのは、娘の顔を見たさが専一....
火に追われて」より 著者:岡本綺堂
らしい様子もみえなかった。午前一時頃、わたしは麹町の大通りに出てみると、電車道は押返されないような混雑で、自動車が走る、自転車が走る。荷車を押してくる、荷物をか....
百物語」より 著者:岡本綺堂
っているからお逢いは出来ないという返事であった。さては怪しいと思ったので、下田は押返して言った。 「御不快中、はなはだお気の毒でござるが、是非ともすぐにお目にか....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
を提出して来たときに、こういう物はいけないと言って一旦つき戻したところが、さらに押返して持って来て、十分に添削したからどうぞ許可してくれと嘆願するので、二、三の....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
帰って直に包物を持って来ました。 どれだけ入って居ったか知りませんが私は其包を押返して「私は明日急ぐ用事があってニャートンの方へ行かなければならぬので、ニャー....
連環記」より 著者:幸田露伴
じく、下七字は文時が詩にも優れて候、と申した。これは憚りて申すならんと、ふたたび押返し御尋ねになった。文時是非なく、実には御製と臣が詩と同じほどにも候か、と申し....
南国太平記」より 著者:直木三十五
ゃろう」 義観は、こともなげに答えた。小太郎は、義観が、猿だと信じているのへ、押返して聞くのは、悪いような気もしたが 「いいえ――老師は、馬鹿と、一喝なされま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
はあったら少年が返り討ちになる。しかし、御用心御用心」 「うむ――」 竜之助は押返して問うことをしなかったと見えます。 三 「与八さん、わた....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
て、お松に向って大きな声で返事をしました。 「そんなことを言わないで」 お松が押返して言うと、 「今まではお前さんたちと仲よくして来たけれど、これからは他人な....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
のいやがる蛇を集めて大切《だいじ》に育てておりました。 ある日のこと、表通りは押返されないほど賑やかだが、人通りもない湿っぽい路次のところから、この軽業小屋の....