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抽き出し
「抽き出し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抽き出しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
う傾向を持っている。したがって駈け出しの演出者こそ最も生き生きした演技を彼らから
抽き出し得る機会に恵まれているというべきであろう。 (このことを方法論的にいうな....
「食魔」より 著者:岡本かの子
げ込み立上って来た。じろりと台俎板の上を見亙す。これはいらんという道具を二三品、
抽き出して台俎板の向う側へ黙って抛り出した。 それから、笊の蔬菜を白磁の鉢の中....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
然別個のものであろうか。法水が黒死館の図書目録の中から、ウッズの「王家の遺伝」を
抽き出したのは、その古譚めいた連続を、彼は遺伝学的に考察しようとするのではないか....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
、やがて、それをそっと元の穴へ返した、と思うと、今度は、すぐ左隣の「藪柑子集」を
抽き出して、これもしばらくページをめくっていたが、やがてまた元の空隙へ押しこんだ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
聞かされた。
「でも斯様な時代もあったですよ」
と云って、与右衛門さんは九度目に
抽き出した煙管に煙草をつめながら、斯様な話をした。
此辺はもと徳川様の天領で、....
「海流」より 著者:宮本百合子
っかり順序のきまっている考えかたに従ってそのことの性質、筋とでもいうようなものを
抽き出して、その対策に何の躊躇もなく頭が向いて行く。学校の空気が動き出して以来、....
「青年」より 著者:森鴎外
恐るべき微笑もせずに、極めて真面目に。 己は選びもせずに、ラシイヌの外の一巻を
抽き出して、持て来た一巻を代りに入れて置いて、しづえと一しょに洋室を出た。 己....
「「迷いの末は」」より 著者:宮本百合子
たときでさえ持たぬ作家であったのであるから、ともかく何かヨーロッパ的でないものを
抽き出して、これが日本であると云うために、ひどい無理をしている。「一口で日本を巧....
「鶏」より 著者:森鴎外
間の隅に立て掛けてある洋書の中から 〔La Bruye`re〕 の性格という本を
抽き出して、短い鋭い章を一つ読んではじっと考えて見る。又一つ読んではじっと考えて....
「決闘」より 著者:神西清
ようとするのさ。現に君の頭に一杯に詰まっている抽象学にしたって、君の智を検証から
抽き出して来るものだからこそ抽象と称せられるのだ。悪魔の眼を真向から直視したまえ....
「人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
理が正しいならば、人間の随意的行動はその意見に発するという命題からゴドウィン氏が
抽き出している、政治的真理に関する系論は、明かに確立されたということにはならない....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
。 文芸の批評は単に作家の為に方角を示すのみならず、我々の生命に深さと新しさとを
抽き出して来ねばならぬ。その上、我々の生活の上に、進んだ型と、普通の様式とを示さ....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
し声がきこえる。きき覚えのある海蛇のだみ声である、ケートは耳をすました。 「おい
抽き出しの銃はだいじょうぶか」 「ちっともぬれてません」 「ありがてえ、弾薬は?....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
って来て仕舞ったのだ。 女は座席に即くと悠々小田島のシガレットケースから煙草を
抽き出してふかし始めた。そして胡散臭そうに女を見乍ら誂を聞く給仕男へ横柄に、 ―....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
みから日光が洩れて、豹紋のような斑点を染め出す、糸のように痩せた蔭草が青白い茎を
抽き出して其上を匐っている。小雀らしい鳥がスイースイーと葦五位のような幽かな細い....