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抽象論
「抽象論〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抽象論の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
るくせに何んだって馬耕をしねえだ。幾日《いくんち》もなく雪になるだに」
帳場は
抽象論から実際論に切込んで行った。
「馬はあるが、プラオがねえだ」
仁右衛門は....
「星座」より 著者:有島武郎
いましょうか」
この女は俺の説でも承《うけたまわ》ろうとするがいいんだ。そんな
抽象論で引きさがるかい。
「あなたは実際、たとえば星野か園かに恋を感じたことはな....
「未帰還の友に」より 著者:太宰治
自信か。その話は、もうたくさんだ。ノオと言えばいいんだろう?」 「いいえ、先生。
抽象論じゃ無いんです。女ですよ。先生、飲もう。僕は、ノオと言うのに骨を折った。先....
「絶対矛盾的自己同一」より 著者:西田幾多郎
去らざるものであり、未来は未だ来らざるものでありながら既に現れているというのは、
抽象論理的に考えられるように、単に過去と未来とが結び附くとか一になるとかいうので....
「文芸時評」より 著者:宮本百合子
ットの社会主義的進化の実状に対するトロツキーの思想と思索方法とが全く動脈硬化的な
抽象論を一歩も出ていない」という翻訳者として意見を表明しておられる。 『改造』で....
「矛盾の一形態としての諸文化組織」より 著者:宮本百合子
則は破られない」という、今日の日本の現実に即して観た客観的効果の方面にはふれない
抽象論を提出していられるのである。今日の一般人はいろいろと苦しい思いの中で文化へ....
「今日の文学の展望」より 著者:宮本百合子
に落ちて行ったのであるが、ヒューマニズムの問題の旺盛化につれてつよまった非実力な
抽象論化の根本的モメントは、果してどこに潜んでいたのであったろうか。 日本に文....
「落ちたままのネジ」より 著者:宮本百合子
もそれとして人々を益すると云っている、微塵悪意のない、だがそこから実際には沢山の
抽象論、機械的解釈を発生させる罅《ひび》の間から、立ちのぼって来ているのである。....
「現実の道」より 著者:宮本百合子
上のような意味ですすめられる女の仕事を、一概にけなすことは不可能でありましょう。
抽象論としては一応誰にも納得されるだけに、私たちはこの女と仕事の問題を、注意ぶか....
「新しい卒業生の皆さんへ」より 著者:宮本百合子
か。 日本には、社会生活のほんとの考えかたが民主的に訓練されていないからこそ、
抽象論が多いのです。アルバイトしている男女学生の生活は、経済安定本部の抽象性の修....
「慾」より 著者:豊島与志雄
多く苦痛だと思うか。前者の方がより多く苦痛だろうと言う者は、人間の慾望を解しない
抽象論者だ。絶対安静とグラムで測った食料とを強要されて、ベッドに寝ている時に、僕....
「風俗時評」より 著者:豊島与志雄
ないかということに微妙な問題がある。それは各個人的なそして全身的な事柄であって、
抽象論は用を為すまい。女にとって最も非美的なのは標準作法や標準語であると、こう逆....
「失われた半身」より 著者:豊島与志雄
肉体的なものには一定の限界があるが、精神的な思惟は無限に進展するよ。」 「それは
抽象論だ。僕にとって最も大切なのは、現実だ。先ず現実を直視し、掘り返さなければ、....
「肌の匂い」より 著者:三好十郎
つて行つた。とは言つても、それは、ひと昔以前のインテリたちの間に流行した一般論や
抽象論では無かつた。そんなものとは、まるで違つた質のものであつた。この樣に混亂し....
「夜の道づれ」より 著者:三好十郎
ているんじやないかね? その愛のところが君に見えないだけじやないだろうか? 僕は
抽象論を、空言を弄しているんじやない。おぼえて置きたまい、君はそうして家を出て、....