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拡げる
「拡げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
拡げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
りながら、 「どこだ、どこだ、さあ、持って来い、座敷を。」 で、突立って大手を
拡げる。 「どうぞこちらへ、」 と廊下で別れて、一人が折曲って二階へ上る後から....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
っと違った視角からこの現象を見なければならぬ。 愛がその飽くことなき掠奪の手を
拡げる烈しさは、習慣的に、なまやさしいものとのみ愛を考え馴れている人の想像し得る....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
た。 (ちえッ。白紙でやがる!) 彼は、何にも文字の書いてない白紙を卓子の上に
拡げると、衣嚢の中から、青い液体の入った小さい壜を取出した。その栓をぬいて紙面に....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
日 ◯建物疎開で、町の変貌甚し。三軒茶屋より渋谷に至る両側に五十メートル幅で道を
拡げるというが、それを今盛んにやっていて、大黒柱に綱をつけ、隣組で引張って倒して....
「春昼」より 著者:泉鏡花
目を驚かせます。 はて、何んであろうと、親仁殿が固くなって、もう二、三度|穿り
拡げると、がっくり、うつろになったので、山の腹へ附着いて、こう覗いて見たそうにご....
「共軛回転弾」より 著者:海野十三
。袋の口から中を覗いていたが、するりと抜きだした折畳んだ大きな紙。それを机の上に
拡げる。 「あら、白紙だわ」 ルスが愕いた。 博士は無頓着に、その大きな紙の....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
絶して、生死も知らないでいたうちの事が現に顕われて、お腹の中で、土蜘蛛が黒い手を
拡げるように動くんですもの。 帯を解いて、投げました。 ええ、男に許したので....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
いました。境遇は人の心を映す種子だったでございましょう! それは丁度絵巻物を繰り
拡げるように、物心ついた小娘時代から三十四|歳で歿るまでの、私の生涯に起った事柄....
「月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
で、 「余程変った現象があるですねえ。」といいながら、包を下して、その大風呂敷を
拡げると、中から出たのはいずれも地球上でいまだ見た事もない珍奇な物ばかりだ。修繕....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
成らぬ。林の中には薬草の根元まで掘下げた穴が幾つも有るで、その中の大きなのを少し
拡げるまでじゃ。拙老が手伝うて遣わすぞ」 「何から何まで御親切な」 滝之助は感....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
しょうか見わけて下さいと言って、着物に対して似合いの帯を二つ持って来て私のまえに
拡げるのである。私たちのことが上海の新聞に出ていたので、この櫛巻にした私の姿を知....
「花筐と岩倉村」より 著者:上村松園
人の表情を示す能面の凄美さは、何にたとえんものがないほど、息づまる雰囲気をそこに
拡げるのである。 わたくしは、この照日前の舞姿――狂人の狂う姿を描こうと思い立....
「旅客機事件」より 著者:大庭武年
出来ます。これは一分でも座席から離れていたのでは不可能な事です。私は絵巻物をくり
拡げるように一分間分のブランクもないように、沿線各地点の模様を述べましょう。そし....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
を伴い日本の商業を発達させ日本の地盤を固めて行く。東露に若干たりとも日本の商業を
拡げる事が出来たのは全く醜業婦のお庇である。露国は自国の商工業を保護するために外....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
原駅に在った。駅から富士は直ぐ眼の前に見える。富士の裾野は眼で視ただけでは両手を
拡げる幅にも余った。その幅も、眺めるうちにだんだん失われた。聖者は眼を二つ三つし....