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「拭い去る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

拭い去るの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
い結論を云ったけれども、しかし彼の心中には、薄れ行った人形の影に代って、とうてい拭い去ることの出来ない疑問が残されてしまった。法水は続いて、 「だが熊城君、犯人....
すり替え怪画」より 著者:海野十三
のだった。つまり或る薬液があって、それを画面にかけると、後から塗った画は、綺麗に拭い去ることができるのであった。 烏啼と藤代女史とが、この静かな画房の中で、蒐....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
と皮膚との間に一つの汗という汚水の層を持つ事は全く不愉快な事だ。浴衣の汗は直ちに拭い去る事が出来るが洋服の汗はカラーによって封じ込められているため、手を入れるべ....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
晴るることなし。これ母親の死を悲み別離に泣きし涙の今なお双頬に懸れるを光陰の手も拭い去るあたわざるなりけり。 読書、弾琴、月雪花、それらのものは一つとして憂愁....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
かばかしいほど夢中になって眼をこすってみても、ラザルスの怖ろしい幻影はどうしても拭い去ることが出来なかった。 しかし遥かに遠いところに住んでいて、噂を聞くだけ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
に諸君と議論する必要はないように思われる。私はこの事件の直後、拭い去ろうとしても拭い去ることの出来ない憂鬱症のために、逐われるようにしてこのX市を立ち去った。そ....
脳波操縦士」より 著者:蘭郁二郎
源の重たげな足どりが、よろめくように私の視界を去っても、私の暗然たる気持は、長く拭い去ることが出来なかった。 ――その夜、私はここへ来ては唯一の慰安であるラジ....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
合もあるので、臆せまいと思い凝っと瞼を閉じていても、あの怖ろしさだけは、とうてい拭い去ることができないのであった、しかし一方にはまた、里虹の生死のことが考えられ....
序に代えて人生観上の自然主義を論ず」より 著者:島村抱月
」ということに過ぎない。その諦めもほんの上っ面のもので、衷心に存する不平や疑惑を拭い去る力のあるものではない。しかたがないからという諦めである。 ここまで回顧....
自力更生より自然力更生へ」より 著者:三沢勝衛
るという態度に出るのが当然である。いずれにしても「自然力征服」という考えは完全に拭い去ることが必要である。与えられた時間がわずか一時間半という短時間ではあり、と....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
でて両頬を伝うて流れ下るようになる。拭っている暇がない。暇がないというよりは寧ろ拭い去る必要を感じない。眼などへ沁み込んで多少刺戟さるることもあるが、それらはや....