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拮
「拮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
拮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「沼地」より 著者:芥川竜之介
悲壮の感激を受けた。実際同じ会場に懸かっている大小さまざまな画の中で、この一枚に
拮抗《きっこう》し得るほど力強い画は、どこにも見出す事が出来なかったのである。
....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
ように、命のある限り、掘り穿っていくほかには、何の他念もなかった。彼はただ一人|
拮々《きつきつ》として掘り進んだ。洞窟の外には春去って秋来り、四時の風物が移り変....
「錯覚自我説」より 著者:辻潤
疑わしめたのであった。 しかし、偶然は私をして遂に氏との親交を結ばしめた。氏は
拮据《きっきょ》十余年かれの仕事に没頭して、千数百枚にのぼる『循環論証の哲理』と....
「十万石の怪談」より 著者:佐々木味津三
――会津中将松平容保が薩長の執拗な江戸追討を憤って、単身あくまでもその暴虐横暴に
拮抗すべく、孤城若松に立て籠ってから丁度六日目のことだった。勿論、その討伐軍は大....
「惜別」より 著者:太宰治
蘭医に依って口火を切られたのだと言っていた。一日も早く西洋の科学を消化して列国に
拮抗しなければ、支那もまた、いたずらに老大国の自讃に酔いながら、みるみるお隣りの....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
関係乃至関数関係が、落ちつく処へ落ちつかないからである。人間同志の機械的な相克・
拮抗の貸借対照表が、人間関係の関数関係乃至方程式が、そうしないとこの段階の横光に....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
。矛盾を指摘するということは、文化なら文化について、自分の文化を相手の文化に対立
拮抗させることによって、そういうことを実行していることによって、初めて出来ること....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
ハッキリとした形で、姿を現わした。――諸々の吏道はたしかに相互の対抗として、競争
拮抗するかのような関係で勃発した。だが固より日本の吏道は一あって二あるものではな....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
うに考えられた。 まったく、その夢の最高頂においては、あの厭わしい現実の苦悶と
拮抗できるのであった。しかし、一方において彼は、その人魚の形が、両肢の癒合した一....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
じゃあ俺はアルセーヌ・ルパンとあえて云おう。ところで君はこのアルセーヌ・ルパンと
拮抗して戦ってみるつもりなのかい。フン。官房主事閣下、少しは自分の身も考えてみる....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
形の丈の最も勝れた松が二株あって、海に寄ったのは亭々として雲を凌ぎ、町へ寄ったは
拮蟠して、枝を低く、彼処に湧出づる清水に翳す。…… そこに、青き苔の滑かなる、....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
龍吉で、杉浦が露国における日本の商人を代表していた。徳永は新進であったが、杉浦と
拮抗して大いに雄飛しようとし、あたかも哈爾賓に手を伸ばして新たに支店を開こうとす....
「明治の文学の開拓者」より 著者:内田魯庵
何といっても日本の最高学府たる帝国大学に対しては民間私学は顔色なき中に優に大学と
拮抗して覇を立つるに足るは実業における三田と文学における早稲田とで、この早稲田の....
「鱧・穴子・鰻の茶漬け」より 著者:北大路魯山人
鱧 茶漬けの中でも、もっとも美味いもののひとつに、はもの茶漬けがある。これは刺身でやるたい茶漬けと
拮抗する美味さだ。洋食の流行する以前の京、大阪の子どもに、「どんなご馳走が好きか....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
りして並びない全盛をみせていた。 が、一※たび由良の人気をえたあとはその全盛に
拮抗するくらい何のわけもないことだった。間もなく、由良は、日本橋|中洲の芝居の太....