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拱
「拱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
拱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠義」より 著者:芥川竜之介
》から、林右衛門に伝えられた。
「よいわ。この上は、林右衛門も意地ずくじゃ。手を
拱《こまぬ》いて縛り首もうたれまい。」
彼は昂然として、こう云った。そうして、....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
くれるつもりだ」 不審の眉《まゆ》を攅《あつ》めたる前《さき》の世話人は、腕を
拱《こまぬ》きつつ座中を※《みまわ》して、 「皆さん、なんと思し召す? こりゃ尋....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
》で困って、……今でも貧乏は同一《おんなじ》だが。」 と織次は屹《きっ》と腕を
拱《く》んだ。 「私が学校で要《い》る教科書が買えなかったので、親仁《おやじ》が....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
出して、頤を支えた指で、しきりに忙く髯を捻る。 早瀬はしばらく黙ったが、思わず
拱いていた腕に解くと、背後ざまに机に肱、片手をしかと膝に支いて、 「貰うさ。」 ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
男か、女か。 と、見た体は、褪せた尻切の茶の筒袖を着て、袖を合わせて、手を
拱き、紺の脚絆穿、草鞋掛の細い脚を、車の裏へ、蹈揃えて、衝と伸ばした、抜衣紋に手....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
を掛けて、朱を灌ぐ、――二合|壜は、帽子とともに倒れていた――そして、しかと腕を
拱く。 女は頤深く、優しらしい眉が前髪に透いて、ただ差俯向く。 ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
着弾距離をお離れになりません事です。) (一歩もここを動きません。) 先生は、
拱いた腕を解いて言いましたぜ。」 ――そうだろうと、私たちも思ったのである。 ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
う手心も承知でごわす。」などという段取になってるそうだ。」 弦光がこの時、腕を
拱いた。 「少からず煩いな、いつからだね、そんな事のはじまってるのは。」 「初冬....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
は丁字形に二つ並べた、奥の方の縁台に腰をかけて、掌で項を圧えて、俯向いたり、腕を
拱いて考えたり、足を投げて横ざまに長くなったり、小さなしかも古びた茶店の、薄暗い....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
薩に似ず、仙家の僕の誤って廬を破って、下界に追い下された哀れな趣。 廉平は腕を
拱いて悄然としたのである。時に海の上にひらめくものあり。 翼の色の、鴎や飛ぶと....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
それは別の話、あの時は何をいうにも四辺が真暗でどうすることもできず、しばらく腕を
拱いてぼんやり考え込んでいるより外に道がなかった。が、その中うっすりと光明がさし....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
橋を挟んで、川を遡ったり、流れたりして、流網をかけて魚を取るのが、川ン中に手
拱かいて、ぶるぶるふるえて突立ってるうちは、顔のある人間だけれど、そらといって水....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、とこうでしょう、言種が癪に障るじゃありませんか。」 愛吉は何にもいわず、腕を
拱いて目を外して、苦言一針するごとに、内々恐縮の頸を窘める。 紋床は構わず棚下....
「活人形」より 著者:泉鏡花
かり時を得顔に、霞を織る様|哀なり。妖物屋敷と言合えるも、道理なりと泰助が、腕|
拱きて彳みたる、頭上の松の茂を潜りて天より颯と射下す物あり、足許にはたと落ちぬ、....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
』とて、静に坐に直り、綸を埋めて、更め投下しぬ。 漁史は、徐に身を起し、両腕|
拱きて首を垂れしまま、前に輪を為せる綸を埋めんともせず、小ランプに半面を照されて....