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「拱手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

拱手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
盲人独笑」より 著者:太宰治
の、悪い宿業《しゅくごう》が、多少でも、美しいものを見せられた時、それをそのまま拱手《きょうしゅ》観賞していることが出来ず、つい腕を伸ばして、べたべた野蛮の油手....
酒中日記」より 著者:国木田独歩
よと申込んで来た時、自分は思わず吐息をついて長火鉢《ながひばち》の前に坐ったまま拱手《うでぐみ》をして首を垂《た》れた。 「どうなさいました?」と病身な妻《さい....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
。 迷亭が帰ってから、そこそこに晩飯をすまして、また書斎へ引き揚げた主人は再び拱手《きょうしゅ》して下《しも》のように考え始めた。 「自分が感服して、大《おお....
野分」より 著者:夏目漱石
の覚悟をせねばならぬ。斃《たお》るる覚悟をせねばならぬ。太平の天地だと安心して、拱手《きょうしゅ》して成功を冀《こいねが》う輩《はい》は、行くべき道に躓《つまず....
光と風と夢」より 著者:中島敦
ポリネシア式の優柔不断が戦争を容易に起させないであろうことを唯一の頼として、拱手《きょうしゅ》傍観している外はないのか? 権力を有《も》つのは善い事だ。もし....
丹下左膳」より 著者:林不忘
流とうとうと渦まいて、水の力はおさえるべくもありません。さかまく水勢をながめて、拱手《きょうしゅ》傍観のありさま。 橋はいつできるかわからない。 赤手空拳《....
石狩川」より 著者:本庄陸男
ていたのに――会津救援には何を措《お》いても駈《か》けつけるべきであったのに――拱手《こうしゅ》傍観を強いられた彼らは、むざむざと数百の生命を屠《ほふ》らしたで....
駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
だしい。尤も狡猾な都会人に欺かれて早くから地所を手放して了ったのもあるが、中には拱手して忽ち意外なる市街地の大地主となったものもある。都会の成金は屡々嘲弄嫉妬の....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
に時としては又涙の裏に、斥けられて了うのである。世界を「解釈」するということは、拱手して世界を征服するということは、確かに楽しい仕事に相違はない。たといそのため....
新疆所感」より 著者:日野強
は国庫の保護をもって、未開地の探検に従事せしめ、勢力扶植に汲々たるに、帝国ひとり拱手傍観の状あるは、真に千古の遺憾にあらずや。識者もって如何となす。....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
だけにしかみることができない。いまもしぼくらが水平線上に船隻を発見したとしても、拱手して見送るよりほかはない。さいわいぼくらは多くの帆布やリンネルをもっている、....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ったから、岡目から見るように気楽でなかったのは想像されるので、この窮状を子として拱手して知らぬふりする事は出来なかった。尤も公債もあり蓄財もあり、家屋も自分の所....
三国志」より 著者:吉川英治
をつかさどる者に、面白からぬ人物があるからというて、官軍そのものが潰滅するのを、拱手傍観していてもよいものではない」 と、即座に、援軍に馳せつけて、賊の追撃を....
三国志」より 著者:吉川英治
仆す、すべて時あって、変に応じたものです。いたずらに安泰をねがって、世のうごきを拱手傍観していた国で、百年の基礎をさだめた例がありましょうか。――しかも、賢士|....
」より 著者:吉川英治
を云っても君侯の事だった、君言をもって、やらせておけというのでは老臣も匙を投げて拱手しているほかはない。 (あいつめ、案外ぬかりのない奴じゃ。絶えず、殿へ報告を....