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「持たす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

持たすの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
電報」より 著者:黒島伝治
らやるもんじゃ。――まあ、そりゃ、お前の勝手じゃが、兎に角今年から、お前に一戸前持たすせに、そのつもりで居れ。」 小川は、なお、一と時、いかつい眼つきで源作を....
世相」より 著者:織田作之助
いのか。大阪駅以外にはない。残っていた五円で焼餅を一つ買い、それで今日一日の腹を持たすことにした。駅の近所でブラブラして時間をつぶし、やっと夜になると駅の地下道....
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
思い出したので、また万世橋の方へ歩いて行った。彼は本郷の下宿へ帰るまでこの葉巻を持たすつもりで、ゆっくりゆっくり足を運ばせながらなお須永の事を考えた。その須永は....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
のとは云えません。と云って東洋人の虚無は、自然よりずっと冷い虚無です。石か木かに持たすべき思想です。そこで僕等は『何処へ行くべき』です」 「あなたの云うそれは、....
壊滅の序曲」より 著者:原民喜
角へ解決されてゆくのであった。 疎開の意味で、高子には五日市町の方へ一軒、家を持たす、そして森家の台所は恰度《ちょうど》、息子を学童疎開に出して一人きりになっ....
その年」より 著者:宮本百合子
手の一つや足の一つないようんなって戻ったって、きっとおっ母さんが恥しゅうない嫁女持たす」 「…………」 「いいか」 「ああ」 云いたいことは詰っていて、両方の....
地図にない島」より 著者:蘭郁二郎
。一秒に五百米なんていうスピードは一寸想像も出来ない。ましてそれだけのスピードを持たすための初速度は実に物凄いもので、たかが市内電車の急発車でもひっくりかえるよ....
壺井栄作品集『暦』解説」より 著者:宮本百合子
なかった時代のものであった。きょう、人民は組織をもつようになった。しかし、それを持たすまいとして日夜活動をつづけている権力がある。その権力は金の魔力で組織をこわ....
家常茶飯 附・現代思想」より 著者:森鴎外
。その傍に甚だ深く造りたる凭掛の椅子あり。凭りかかる処は堅牢に造りありて、両肱を持たする処を広くなしあり。この椅子に向き合せて、木部を朱色の漆にて塗りたる籐の椅....
旧藩情」より 著者:福沢諭吉
なるは、婦女子《ふじょし》の夜行に重大なる箱提灯《はこちょうちん》を僕《ぼく》に持たする者もあり。外に出《い》でて物を買うを賤《いや》しむがごとく、物を持つもま....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
を喰ったとて、右左をとりちげえるようなことはいたしません。なんで、左手に撥なんぞ持たすものですか。……たぶん、こりゃア、あッしの左ききを知っているやつが、あッし....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
策も施さないかというに、充分に注意を加えてチベット国民の感情を恢復し、よい感情を持たすようにつとめて居ることは、今日ダージリン及びシッキム等の地方においての実際....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
るがの」 「…………」 「――だがの、お通だけは、金輪際、本位田家の面目として、持たすことは相成らぬ。おぬしが、なんといおうが、まかりならぬ」 「…………」 「....