持て余す[語句情報] » 持て余す

「持て余す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

持て余すの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
子《ながいす》に倒れかかった。 それは不思議だった。葉子の神経は時には自分でも持て余すほど鋭く働いて、だれも気のつかないにおいがたまらないほど気になったり、人....
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
りになった上に、その何十倍か何百倍のクーリーを使っても、豆の出盛《でさか》りには持て余すほど荷が後から後からと出てくる。相生さんの話によると、多い時は着荷《ちゃ....
明暗」より 著者:夏目漱石
事変りなく働らいた彼女は、それでも夫の留守《るす》から必然的に起る、時間の余裕を持て余すほど楽《らく》な午前を過ごした。午飯《ひるめし》を食べた後で、彼女は洗湯....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
のない事も自覚している。そこで自分の子ながらも少しく持て余しているところである。持て余すくらいなら製造しなければいいのだが、そこが人間である。人間の定義を云うと....
石狩川」より 著者:本庄陸男
じゃアだんなは官員じゃねえんですな、官員さんは米を持て余していましてね」 「なぜ持て余す?」 「先ず――俸禄が多すぎるんでしょう、結構なこってすよ」 「左様か―....
幼年時代」より 著者:堀辰雄
対してはもう半分馬鹿にしたような態度をとり出した。その女の子は、そんな私をすこし持て余すようにしていたが、おとなしい性質と見え、何をしても私のするがままになって....
今戸心中」より 著者:広津柳浪
き、平田が今夜の八時三十分の汽車で出発《しゅッたつ》したことを聞いて、また西宮が持て余すほど泣いた。西宮が自分一人面白そうに遊んでもいられないと、止めるのを振り....
反抗」より 著者:豊島与志雄
でみせた。彼女は煙草を一本取って、一寸吹かしてから、おお辛《から》いと云いながら持て余す様子をした。それを彼は引受けて自分で吸った。立去る時彼女は一寸彼の袖を引....
話に聞いた近藤勇」より 著者:三田村鳶魚
。どうして、西国九州から来ている浪士を防ぐどころでなく、幕府は自分で集めた浪士を持て余すありさまになった。京都でこの手合が攘夷論を煽るのですから、幕府は非常に迷....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
のあたりを尋ねて見た。いくら捜しても尋ねあたらない。鶴見は諦めて、疲れ切った体を持て余すようにして足を引きずっていた。 その辺は安東といって住宅地である。大部....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
君江の方ではこの年月いろいろな男をあやなした経験で、こういう場合には男がすこしは持て余すほど我儘《わがまま》を言った方がかえって結果の好い事を知っている。それに....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
い」 と、服従しながらも、一方でくどくど告げ口していたが、南蛮屋は、 「そんな持て余す小僧なら、わしの家へもらって帰るよ。きょうは一つ、御寮人やお鶴にも、話し....
私本太平記」より 著者:吉川英治
”の密謀に積極的なお励みがみえていた。 常に何かの燃焼がなければ、あり余って、持て余すような健康と智と豪気とを併せておられるような御肉体だ。 それが志を共に....
春水と三馬」より 著者:桑木厳翼
殊菩薩直伝の智恵授所という看板を掲げることとなる。それで怠け者や博奕好きの息子を持て余す父親や、放蕩無頼の息子に苦しめられる母親、絶えず喧嘩口論する二人の手代の....