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「持出し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

持出しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
煙管」より 著者:芥川竜之介
たら、その後に、真鍮を用いても、遅くはあるまい。と云う折衷説《せっちゅうせつ》を持出した。これには二人とも、勿論、異議のあるべき筈がない。そこで評議は、とうとう....
羅生門」より 著者:芥川竜之介
考えていた、饑死《うえじに》をするか盗人《ぬすびと》になるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう。それほど、この....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
ふ》きつつ、 「ずっと、ずっとずっとこちらへ。」ともう真中へ座蒲団《ざぶとん》を持出して、床の間の方へ直しながら、一ツくるりと立身《たちみ》で廻る。 「構っちゃ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、胸へ、薄色を抱いたのである。 「貴娘は、先生のように癇性で、寒の中も、井戸端へ持出して、ざあざあ水を使うんだから、こうやって洗うのにも心持は可いけれども、その....
美術曲芸しん粉細工」より 著者:阿部徳蔵
粉細工にとりかゝる。まづ術者は、白や赤や青や紫やの色々のしん粉を見物に見せ、 『持出しましたるしん粉は、お目の前におきましてこと/″\く験めます。』 といふ。....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
甚だ高い発達の階級に相当するものである。しかしこの中に万物の始源として原始の水を持出したところは、疑いもなくインド民族の最古の自然観に根ざしていると思われる。 ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
奴は鼻の先きで笑ってけっからあ。一体がお前此の話ってものは、カチヤが首石になって持出したものなんだ。彼奴と来ちゃ全く二まわりも三まわりも己の上手だ。 お前は見....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
勝負面白い。で、こっちも勢、懐中から羽織を出して着直したんだね。 やがて、また持出した、杯というのが、朱塗に二見ヶ浦を金蒔絵した、杯台に構えたのは凄かろう。 ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
余り旨そうなので、こっちは里心が着きました。建場々々で飲酒りますから、滅多に持出した事のない仕込の片餉、油揚の煮染に沢庵というのを、もくもくと頬張りはじめた....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
たぴたと行るうちに、草臥れるから、稽古の時になまけるのに、催促をされない稽古棒を持出して、息杖につくのだそうで。……これで戻駕籠でも思出すか、善玉の櫂でも使えば....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
うなると焼芋にも禅がある。 が、何しろ、煮豆だの、芋※殻だのと相並んで、婆やが持出した膳もさめるし、新聞の座がさめる。ものが清新でないのである。 不精髯も大....
縁結び」より 著者:泉鏡花
れども。 私は、その絵が大好きで、開けちゃ、見い見いしたもんだから、百人一首を持出して、さっと開ると、またいつでもそこが出る。 この※さんだよ、と言い言いし....
黒百合」より 著者:泉鏡花
清全寺ッて言う巨寺の秘仏だっさ。去年の夏頃開帳があって、これを何だ、本堂の真中へ持出して大変な騒ぎを遣るんだ。加賀からも、越後からもね、おい、泊懸の参詣で、旅籠....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
もって誇っていた旗本や、御家人が、一時に微禄して生活の資に困ったのが、道具なぞを持出して夜店商人になったり、従って芝居なぞも火の消えたようなので、役者の中にはこ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
四五軒、どれも片側の藁葺を見て通ると、一軒荒物屋らしいのの、横縁の端へ、煙草盆を持出して、六十ばかりの親仁が一人。角ぶちの目金で、熟と――別に見るものはなし、人....