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持前
「持前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
持前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「煙管」より 著者:芥川竜之介
つ》が、八朔《はっさく》の登城の節か何かに、一本貰って、嬉しがっていた時なぞは、
持前の癇高《かんだか》い声で、頭から「莫迦《ばか》め」をあびせかけたほどである。....
「富士」より 著者:岡本かの子
ず覚めたるにも非ざる中間に於て悠久なるものを情緒に於て捉《とら》えようとするかれ
持前の思惟の仕方を続けている。水のいろをかがり火のまわりに浸して静に囲んでいる。....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
思ったのでね……」 と、ホーテンス記者は、すっかり憔悴《しょうすい》した顔に、
持前《もちまえ》の不敵な微笑を浮べて語り出した。 「今から十時間ばかり前のことで....
「食魔」より 著者:岡本かの子
いう格に立てられた経験のある、旧舗の娘として母の持てる気位を伝えているらしい彼の
持前は頭の高い男なのであった。それがただ調法の与四郎で扱い済されるだけでは口惜し....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ジュジュと仲間呼びされるその娘は、だんだんむす子の母に興味を感じて来た。娘は
持前のフランス語に、やや通用出来る英語を混えて、かの女と直接話すようになった。娘....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
下を歩く女中の足音は忙しくなり、二つ三つ隔てた座敷から絃歌の音も聞え出した。料亭
持前の不夜の営みはこれから浮き上りかけて来たようである。そのとき遠くの女中の声が....
「良人教育十四種」より 著者:岡本かの子
せ、当人も助かることがある。 しじゅうイライラを起さしてやるのが愛だが、後のは
持前の性質ゆえ修養とか信仰とかを勧めて、根本的に直すのが愛である。一たい短気な人....
「寺内の奇人団」より 著者:淡島寒月
れたと見えて、幾匹かの狸が伝法院の院代をしている人の家の縁の下に隠れて、そろそろ
持前の悪戯を始めました。ちょっと申せば、天井から石を投げたり、玄関に置いた下駄を....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
―ふふん、これは何だか可笑しな所だな、羊でも囲って置いた所だろう。 ワルトンは
持前の早合点で言ってのけた。が彼の言葉を言い切るまでに已に彼の頭の何処かで、彼の....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
すが日本のお方にはどう見えますか。それに此の人の漫画のユニークなところも欧洲人の
持前のものと違って消極的な苦いものがあるのですが、之れも東洋的のものとはお思いに....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
ひと口にいうと馬琴は無調法者だった。口前の上手な事をいうのは出来なかったよりも
持前の剛愎が許さなかった。人の感情を毀すナゾは余り問題にしなかったから、人と衝突....
「瘤」より 著者:犬田卯
村会から郡会、郡が廃されてからは県会と、彼はのし上った。他を威嚇せずにおかない
持前の発声とその魁奇なる容貌――その頃から左の頬へぶら下りはじめた瘤のためにます....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
両親が常磐津が好きで、児供の時から聴き馴れていたのと、最一つは下層階級に味方する
持前の平民的傾向から自然にこれらの平民的音曲に対する同感が深かったのであろう。 ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
謹直家となって真面目に勉強するようになった。知らない顔の他人の中へ突き出されて、
持前の羞恥み屋から小さくなったのでもあろうが、一つは今なら中学程度に当る東京の私....
「釣」より 著者:アルテンベルクペーター
な髪を振り捌いて、鹿の足のような足で立っている小娘である。 小娘は釣をする人の
持前の、大いなる、動かすべからざる真面目の態度を以て、屹然として立っている。そし....