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「持合せ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

持合せの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
。」 僕は誰にでも急《せ》っつかれると、一層何かとこだわり易い親譲りの片意地を持合せていた。のみならずそのボオトの残した浪はこちらの舟ばたを洗いながら、僕の手....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
前へ前へと進むから、始て怖気付いて遁げようとするところを、誰家のか小男、平生なら持合せの黒い拳固一撃でツイ埒が明きそうな小男が飛で来て、銃劒|翳して胸板へグサと....
空襲警報」より 著者:海野十三
さあ」 「われわれにも、チャンとありますかなァ。わたしなんかにゃ、どうも大和魂の持合せが少いんで恥ずかしいんですよ……」 といって頭をかいたが、 「どうです、....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ある……すなわち小刀をもって革鞄を切開く事なのです。……私は拒みません。刀ものは持合せました、と云って、鞘をパチンと抜いて渡したのを、あせって震える手に取って、....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、」 とその男が圧えて、低い声で縋るように言った。 「済みませんがね、もし、私持合せがございません。ええ、新しいお蝋燭は御遠慮を申上げます。ええ。」 「はあ。....
黒百合」より 著者:泉鏡花
けちゃ売らないのですよ。一家秘法の銀流、はい、やい、お立合のお方は御遠慮なく、お持合せのお煙管なり、お簪なり、これへ出してお験しなさいまし、目の前で銀にしてお慰....
小公女」より 著者:菊池寛
、その日そんな話を読んで涙ぐんだほどでした。で、彼はどうかしてそんな子を見付け、持合せの二十銭銀貨を施したいと思っていたところでした。彼はその二十銭で、貧しい子....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
夜だから役人の酒手を倍増しにして四百文出すのが当前だということになった。阿Qは今持合せがないから一つの帽子を質に入れて、五つの条件を契約した。 一、明日紅蝋燭一....
西瓜」より 著者:岡本綺堂
笑った。いよいよ小癪に障るとは思いながら、差しあたってそれを言い破るほどの議論を持合せていないので、わたしは残念ながら沈黙するほかはなかった。外はいよいよ日盛り....
備前天一坊」より 著者:江見水蔭
と云って無いのと、無いと云ってあるのとでは、大変な相違。 「へえ――。こんなにお持合せで……」 「いや、未だ他に二三百両は所持致す。けれども、なかなかこの先の物....
おせん」より 著者:邦枝完二
たら、それこそ肝腎の人さし指が、本から腐って落ちるわな」 「あっしゃァまだ瘡気の持合せはござせんぜ」 「なにないことがあるものか。三日にあげず三|枚橋へ横丁へ売....
健康三題」より 著者:岡本かの子
事でも片付いたらゆっくり口が利ける緒口でもつけてやろう。単純にそのくらいの察しを持合せていた。 女中の言うところに依ると、その娘は富裕な両親に連れられて年中温....
不吉の音と学士会院の鐘」より 著者:岩村透
さ。怪談の目星を打たれる我々も我々であるが、部署を定めて東奔西走も得難いね。生憎持合せが無いとだけでは美術村の体面に関わる。一つ始めよう。 しかし前から下調を....
はなしの話」より 著者:岡本綺堂
たものと知られたが、軍医部は少し離れているので、薬をもらいに行くことも出来ない。持合せの宝丹を塗ったぐらいでは間に合わない。私はアンペラの敷物の上にころがって苦....
世間師」より 著者:小栗風葉
疲れる。それに大阪鮨六片でやっと空腹を凌いでいるようなわけで、今度何か食おうにも持合せはもう五厘しかない。むやみに歩き廻って腹ばかり虚かせるのも考えものだ。そこ....