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持薬
「持薬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
持薬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「芽生」より 著者:島崎藤村
》の胆《い》を盃に溶かしてお菊に飲ませたりなぞした。 急に熱が出て来た。子供の
持薬だの、近所の医者に診《み》せた位では、覚束《おぼつか》ないということを私達が....
「新生」より 著者:島崎藤村
た彼女はいろいろな薬の名なぞをよく知っていて、岸本のために参考に成るような子供の
持薬その他を紙に書残して置いて行こうとした。
五十二
朝早....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
だ。おれが御歳暮に寒鴉《かんがらす》の五、六羽も絞めて来てやるから、黒焼きにして
持薬にのめとそう云ってやれ。もし、大和屋の旦那。おめえさんの眼玉もちっと陰《くも....
「階段」より 著者:海野十三
後でなにをしておいででしたか」と僕は痛い所を追求した。 「いやあれは鳥渡……僕の
持薬である丸薬を落したから、拾い集めて居ただけなんです」と答えたが、その答えぶり....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
で痩せた色の黒い真佐子の父の鼎造はそう云った。渋い市楽の着物の着流しで袂に胃腸の
持薬をしじゅう入れているといった五十男だった。真佐子の母親であった美しい恋妻を若....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
らねえんだ。ぜんそくにべっぴん、のぼせ引き下げにはとうがらしといってね、ときどき
持薬にしねえと、胸のつかえがおりねえんですよ。だから、ねえ、だんな!」 「………....
「家」より 著者:島崎藤村
話を聞こうとして、子供を抱きながら夫の傍へ来た。 「女のお児さんかなし。子供衆の
持薬には極く好いで、すこし置いていかず」 こう嘉助が言って、土産がわりに橋本の....
「家」より 著者:島崎藤村
た。三吉は妻の方を見て、 「オイ、幸作さんから橋本の薬を頂いたぜ」 「毎度子供の
持薬に頂かせております」 とお雪は湯上りのすこし逆上せたような眼付をして、礼を....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、それほどに利くか利かぬかは姑く問題の外として、かくも江戸ッ児に調法がられるこの
持薬で、三百年来事欠かなんだ吾儕の祖先をおもうと、その健康、その体力、恐らくはか....
「独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
のカーボン卿は、金博士が、あまりにも空爆下に無神経でありすぎるのに愕き、周章てて
持薬のジキタリスの丸薬をおのが口中に放りこむと、金博士を桟橋の上に積んだ偽装火薬....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
みが三つ――都合三百両、これがお蘭さんの当座のお小遣《こづかい》さ。ほかにそら、
持薬が二三品と、枕本、手紙、書附――印籠、手形といったようなもの」 「おや、おや....
「神サマを生んだ人々」より 著者:坂口安吾
して、それから次女のテンカンを治しまして、それからこッち先生自身も阿二羅大夫人を
持薬に用いているようですよ。まったく人間はバカ揃いですよ。あなたがメンドーがらず....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ら、それは何代目かの人の発明で、鹿の頭の黒焼を基にしたのだそうです。胃腸の薬で、
持薬にするとのことでした。一藩中どこの家にも備えてあって、家伝の妙薬といわれ、あ....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
風流を以て聞えた著名の殿様であったが、頗る頑固な旧弊人で、洋医の薬が大嫌いで毎日
持薬に漢方薬を用いていた。この煎薬を調進するのが緑雨のお父さんの役目で、そのため....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ざい。何々ピン以上の滋養強壮剤、陰萎、腎虚の大妙薬、物はためし、効能霊験、万病の
持薬、このごろ流行の若返り法などとは論外、ええ、膃肭獣の腎蔵――。」 波も嘲る....