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持越し
「持越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
持越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
なじみ》の客なぞで、一しきり家の内はごたごたした後であった。まだ岸本は長い旅から
持越した疲労《つかれ》をどうすることも出来なかった。神戸へ上陸するからその日まで....
「妖術」より 著者:泉鏡花
っといい顔で勤めているのが、表向は社用につき一軒廻って帰る分。その実は昨夜の酒を
持越しのため、四時びけの処を待兼ねて、ちと早めに出た処、いささか懐中に心得あり。....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
れた山の手のカフエへ現われるようになってから、彼女の気分もいくらか晴々して来た。
持越しの長篇が、松川の同窓であった、ある大新聞の経済記者などの手によって、文章を....
「足迹」より 著者:徳田秋声
父親は時々、この叔母の所有に係る貸家の世話や家賃の取立て、叔母の代のや、父親から
持越しの貸金の催促――そんなようなことに口を利いたり、相談相手になったりした。田....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れに引続く甲板上の暗闘と、それから露骨なる清澄の茂太郎の反芻《はんすう》とからの
持越しの晴れやらぬ心が、お松の夜更けの勉強ぶりに反映するものがあって、そうして、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ある。そうして、この山科の光仙林に倉庫を構えて蓄蔵して置く。あるものは胆吹山まで
持越して隠して置く。それをするには、京都に近く、奈良に近く、滋賀と浪速《なにわ》....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
戴と内々悦んで居たので」 山「家へ帰えれ」 馬「へい、女郎買からお帰りで昨夜から
持越しの癇癪などは恐れ入りますな」 山「斯う云うとき師匠洒落などいうと聞かんぞ、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いつはかなり気の利いた仕事をしたものだ、けれども、その手前《てめえ》が、甲府から
持越しの意趣を晴らしてえという当の相手はどこにいるんだ、甲府で失策《しくじ》った....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
原の斬合いの一人、仏頂寺弥助であって、それに答えて、 「塩尻峠のしくじりを、まだ
持越しているのかい」 それは書生で、医術を心得ているあの時の立会人、丸山勇仙で....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
様に御奨め致します。 仕入は現金買を主義として、月末払いの場合にも決して翌月に
持越してはなりません。些少の金利を目当に支払を延期するとか、問屋の足下につけ込ん....
「おせん」より 著者:邦枝完二
十|文もなさそうだの」 「けちなことァおいてくんねえ。憚ンながら、あしたあさまで
持越したら、腹が冷え切っちまうだろうッてくれえ、今夜は財布が唸ってるんだ」 「そ....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
のは、四条中島|都万太夫座の坂田藤十郎と山下半左衛門座の中村七三郎との、去年から
持越しの競争であった。 三ヶ津の総芸頭とまで、讃えられた坂田藤十郎は傾城買の上....
「正月の思い出」より 著者:岡本綺堂
で、いずれも「勝った、買った」と呶鳴る勢いで、その勝った勝ったの戦捷気分が新年に
持越して、それに屠蘇気分が加わったのであるから、去年の下半季の不景気に引きかえて....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
その提案に同意した。耆婆扁鵲の神剤でもとても癒りそうもなかった二葉亭の数年前から
持越しの神経衰弱は露都行という三十年来の希望の満足に拭うが如く忽ち掻消されて、あ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
紅であった。黄の軍服に紺の軍帽をかぶっていた。おおかたアレキサンドロフスキーから
持越しのものであろうか。眼がしょぼしょぼして内気らしい、彼も素直で善良そうであっ....