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指を折る
「指を折る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
指を折るの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
めにかかったのが、当ったので、それまでは老鋪《しにせ》と云うだけで、お得意の数も
指を折るほどしか無かったのだと云う。
平吉は、円顔《まるがお》の、頭の少し禿げ....
「行人」より 著者:夏目漱石
委《くわ》しく書いたつもりです。東京を立ったのはつい昨日《きのう》のようですが、
指を折るともう十日あまりになります。私の音信《たより》をあてにして待っておられる....
「草枕」より 著者:夏目漱石
岡が二つほど並んで、ここにもあるは蜜柑のみと思われる。何年前か一度この地に来た。
指を折るのも面倒だ。何でも寒い師走《しわす》の頃であった。その時蜜柑山に蜜柑がべ....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
れは少し無理じゃ。然し出来ぬ事もあるまい。南から来て南へ帰る船がある。待てよ」と
指を折る。「そうじゃ六日目の晩には間に合うだろう。城の東の船付場へ廻して、あの金....
「平馬と鶯」より 著者:林不忘
」 「殺してはいけない。殺すと面倒だ」 「ただちょっと肩の骨を挫《くだ》くなり、
指を折るなりして、今度の仕合に出られないようにしてやりさえすればよいのだ」 「な....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
サテモ並んだ病気の名前じゃ。丸い洋文字、四角い漢字と。押し合いヘシ合い何百何千。
指を折るさえ難儀な位じゃ。さては今では精神病者も。外科や内科の患者と同様。科学知....
「ココナットの実」より 著者:夢野久作
道くてビックリしたけども、逆手に持った引金の引き方をウルフから教わっていたので、
指を折るようなヘマな事はしなかった。その代りに手の中から飛び出したピストルが天井....
「女給」より 著者:細井和喜蔵
名称を記憶せねばならんのに、これはまた余りに容易なわざだった。で彼女は、東京にも
指を折る程しか無い本式のレストランを除いては、女給の仕事が低能にでも出来る確信を....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
おいても許しもの、易からぬ重い芸でありましての、われら同志においても、一代の間に
指を折るほども相勤めませぬ。 近頃、お能の方は旭影、輝く勢。情なや残念なこの狂....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ひん》、紅蘭《こうらん》――等、数え来《きた》ってみると古来、日本の国では五本の
指を折るほども無いらしい。 だが、この当面の高橋玉蕉女史は、右の五本の指のうち....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
ょうど入梅の真中だと申します、入梅から勘定して隠居が来たあとをちょうど同一ように
指を折ると、大抵梅雨あけだと噂があったのでございまして。 実際、おかみさんが出....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
は、折から処を隔てていたので、その場合何事にも携わらなんだ。もう三年か四年かと、
指を折るほど前に、七十五日も通越したから、更めて思出すほどでもなし、おいそれと言....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
も夢中で居る。夢中で居ながら、あれ、誰が来て怨む、彼が来て責める、咽喉を緊める、
指を折る、足を捻る、苦しい、と七転八倒。 情人が押懸けるんです。自分で口走るの....
「赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
、搗き鳴らすらしい鐘の音がボーンと尾を曳いて聞こえてきた。 「おおもう後夜か」と
指を折る。 その時庭の離れ座敷から三味線の音が聞こえてきた。唄うは何? 江戸唄....