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指先
「指先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
指先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
は僕の知らない穴でもあいていたのでしょう。僕は滑《なめ》らかな河童の背中にやっと
指先がさわったと思うと、たちまち深い闇《やみ》の中へまっさかさまに転げ落ちました....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
分はこのごろ齲歯《むしば》につめたセメントがとれたのではないかと思った。けれども
指先に出して見ると、ほんとうの歯の欠けたのだった。自分は少し迷信的になった。しか....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
汽船会社。」
僕は葉巻を銜《くわ》えたまま、舟ばたの外へ片手を下ろし、時々僕の
指先に当る湘江《しょうこう》の水勢を楽しんでいた。譚の言葉は僕の耳に唯《ただ》一....
「路上」より 著者:芥川竜之介
とね、うす赤い皺の重なり合った上に、まるで卵の白味《しろみ》のような物が、ほんの
指先ほど、かかっているんだよ。」
「そうかね。」
俊助は依然として微笑をやめな....
「夢」より 著者:芥川竜之介
しの足もとにある、薄赤い絨氈《じゅうたん》に目を落した。それから素足《すあし》の
指先にそっと絨氈を撫《な》でまわした。絨氈の与える触覚は存外毛皮に近いものだった....
「或る女」より 著者:有島武郎
とか、切符を一緒にしまっておいてくれろとかいって、音楽者のようにデリケートなその
指先で、わざとらしく幾度か青年の手に触れる機会を求めた。列車の中からはある限りの....
「或る女」より 著者:有島武郎
いになって」
葉子は火鉢《ひばち》の縁《ふち》に両|肘《ひじ》をついて、両手の
指先を鼻の先に集めて組んだりほどいたりしながら、古藤の顔に浮かび出るすべての意味....
「星座」より 著者:有島武郎
段と段との隔たりが大きくておまけに狭く、手欄《てすり》もない階子段を、手さぐりの
指先に細かい塵を感じながら、折れ曲り折り曲りして昇るのだ。長い四角形の筒のような....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
る。 朝晩の凍み方はたいして冬と変わりはない。ぬれた金物がべたべたと糊のように
指先に粘りつく事は珍しくない。けれども日が高くなると、さすがにどこか寒さにひびの....
「親子」より 著者:有島武郎
た。高い腰の上は透明なガラス張りになっている雨戸から空をすかして見ると、ちょっと
指先に触れただけでガラス板が音をたてて壊れ落ちそうに冴え切っていた。 将来の仕....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
年の方に押寄せた。クララはやがてかのしなやかなパオロの手を自分の首に感じた。熱い
指先と冷たい金属とが同時に皮膚に触れると、自制は全く失われてしまった。彼女は苦痛....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
親指と人差指がいつもよりも大層|脂漲って変な感じがした。若い尼の顔の上の脂が彼の
指先に粘りついたのかもしれない。それともまた彼の
指先が尼の面の皮にこすられてすべ....
「米」より 著者:犬田卯
四肢をぴくつかせていた。腹部を見ると、まるで死んだ蛙のようにぷくらんと膨れ上り、
指先で押しても凹まないくらいだった。 「おやまア、どうしたんだや、ヨチ子――」 ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
は片襷を、背からしなやかに肩へ取って、八口の下あたり、緋の長襦袢のこぼるる中に、
指先白く、高麗結びを……仕方で見せて、 「ちょいと、こういう風でね。」 かくて....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
る。踏み止まるというより其処で支えられるのである。その危険をふせぐために、両足の
指先へ力をこめて登って行かねばならぬ。少しく急な傾斜を持つところになると、眼前へ....