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指差す
「指差す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
指差すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黄村先生言行録」より 著者:太宰治
。私は、よほど以前からその事を看破していたのであるが、 「先生、梅。」私は、花を
指差す。 「ああ、梅。」ろくに見もせず、相槌《あいづち》を打つ。 「やっぱり梅は....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
私達を振り返った。 「一寸見に来給え」 そこで私達も船体に寄り添って、東屋氏の
指差す線に眼を落した。 なんのことはない。半分|乾枯びかかった茶褐色の泡の羅列....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
ると同時に、逆に、再び戻っているじゃないですか?」 助役は、血走った眼で喬介の
指差す方を追っていたが、やがてぶるぶる顫い出すと、あわてて腕時計を覗き込んだ。そ....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
中が黄色い声をはりあげた。 「鳥山。なにか引きずった跡じゃない?」 赤沢夫人の
指差す先の地面には、たしかになにか重いものを引きずった跡が、ボンヤリと病舎の方へ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、やがて霽れ間が見えてきた。すると、ケプナラがあっと叫んで、白みかけてきた前方を
指差すのである。 「アッ、なんだありゃ。ルチアノ一味の襲撃じゃないか」 みると....
「花吹雪」より 著者:太宰治
前に立ちて、あれもいや、これもいや、それでは何がいいのだと問われて、空のお月様を
指差す子供と相通うところあり。大慾は無慾にさも似たり。 五、我、ことごとに後悔....
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
きたのが、見えたからであった。 「何?」 一人が、振向いた。 「あれ」 と、
指差すか、差さぬかに、水がざっと泡立ち裂けると、白鉢巻をした顔が――手が、足が―....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
「奥のお客さんにお茶を一ツあげて下さい。」
重役らしい人が私の肩を叩いて奥を
指差す。茶を持ってドアをあけると、黒眼鏡をかけた色の白い女のひとが、寒暖計の表の....
「トカトントン」より 著者:太宰治
えた。 拝復。気取った苦悩ですね。僕は、あまり同情してはいないんですよ。十指の
指差すところ、十目の見るところの、いかなる弁明も成立しない醜態を、君はまだ避けて....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ワッと立ち上がった。 「熊! 熊!」と騒ぎ立つ。 「何、熊?」と弓之進は、若党の
指差す方角を見ると横手の谷の底に当たって真っ黒の物が蠢いている。いかさま熊に相違....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ケが話したとおりに、艇長の生地が和蘭のロッタム島だとすれば、当然その符合が、彼を
指差すものでなくて何であろう。 しかし、一方艇長の死は確実であり、またよしんば....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
っつき合わせやがって」 と汚ならしい、獣物に触れるような血相で、顫えつつ前方を
指差すのであったが、そうしてから法水の腕に凭れて、今度も異様な言葉を呟くのだった....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
何故か私は「顔」という言葉がこの時ゾッと身に沁みた。それで私は眼を躍らせ彼の
指差す方向へ周章てて視線を走らせた。 顔! 顔! 人間の顔! しかも一つや二つ....
「月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
出して、不思また「ヤッ」といったが、気が着いて博士の袖を曳きながら、頻りに先方を
指差すので、そちらを見ると如何にも石碑らしいものがある。 無人の境に石碑! ....
「面白味」より 著者:中谷宇吉郎
歩きながら、「あの牛蒡《ごぼう》は食える」とか「あのこんにゃくはいい」とか言う。
指差す方を見ると、なるほど小さい八百屋の店先に、そういうものがならんでいる。 ....