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「指揮棒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

指揮棒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
道標」より 著者:宮本百合子
第九シムフォニーの第二楽章がはじまった。その日の指揮はセロのドイツ人教授だった。指揮棒が譜面台を軽く叩き、注意。そして、演奏がはじまる。 一呼吸はやく、第一ヴ....
孟買挿話」より 著者:吉行エイスケ
して劣るものではないことを切々と話す、そのとき場内の電光が絞られてコンダクターの指揮棒がはねかえると数十本の楽士達の手足が渦を巻いて低声で唄いながら踊子達が立上....
連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
、少なくも芭蕉の関与したものである限り、いずれも芭蕉自身がなんらかの意味において指揮棒をふるうてできたものと仮定してもおそらくはなはだしい臆断《おくだん》ではな....
俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
連句がおもしろいのは、それぞれ特色を異にした名手が参加している上に、一代の名匠が指揮棒をふるっているためである。蕪村七部集が艶麗豪華なようで全体としてなんとなく....
少年探偵長」より 著者:海野十三
ら取出したのは三十センチくらいの棒である。それはちょうど、管絃楽団の指揮者が使う指揮棒のようなものだった。 おやおや、あんなものを何にするのだろう。と、春木、....
モスクワの辻馬車」より 著者:宮本百合子
人だかりだ。若い交通巡査は、黒い外套の胸をふくらませてしめた皮帯の前へ差した赤い指揮棒の頭をひねくりながらきき終ると、手を帽子へやりロシア風にそれを頭のうしろへ....
近頃の話題」より 著者:宮本百合子
なのだと思った。それに、このひとの指揮ぶりは特徴がつよくて、オーケストラに向って指揮棒が縦に縦にと働きかけて行く。繊細、強靭、且《かつ》疳がつよくて、音に対する....
仮装の妙味」より 著者:宮本百合子
どの新聞にも近衛公の写真が出ていて大変賑わしい。東日にのった仮装写真は、なかでも秀抜である。昔新響の演奏会で指揮棒を振っていた後姿、その手首の癖などを見馴れた近衛秀麿氏が水もしたたる島田娘....
社会時評」より 著者:戸坂潤
の真剣な応援団は、猛然として贖罪と救済とのために起ち上り、同時に慶応側の権威ある指揮棒が行方不明になった。ということに、少くとも早稲田側ではなっている。この際、....
鴉と唱歌」より 著者:寺田寅彦
の映画を撮影している人々が画面の此方に大勢いるはずである。その人々の中であるいは指揮棒でも振って老人の歌の拍子をとっているコンダクターがいるかもしれないとすると....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
かりではなく、公《おおやけ》の演奏の最中にもそうだった。大公の面前で、怒りたって指揮棒を投げすて、激しい急《せ》き込んだ声で楽員のだれかを詰問しながら、気でも狂....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
フは背後の桟敷《さじき》から起こる倦怠《けんたい》の霧に凍えながら、なおつづけて指揮棒を振り、みずから興奮していった。 ついに序曲は終わった。聴衆は拍手した。....
地上」より 著者:島田清次郎
った。白皙な額と澄み切った眼とが深い学者的な感銘を与えずにおかないO氏が、白色の指揮棒を取って「讃美歌――番」と囁く。そしてピアノの伴奏と白い指揮棒の波動に導か....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
う。杓子はこれを要するに主婦のスタッフ、大臣・大納言などの笏に該当し、また楽長の指揮棒のごときもので、すなわち家刀自の権力のしるしであった。だから女房を山の神と....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
左右に振り廻し、あの独特の大きな両眼をぎろつかせ、渾身これ熱これ力といった有様で指揮棒を振り、私達にあの歌詞(相馬御風氏作)と曲譜とを教えたのであったが、記念祭....