挙げて[語句情報] » 挙げて

「挙げて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

挙げての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
たかと思うほど、かすかな吐息《といき》をつく音がした。 私は悸《おび》えた眼を挙げて、悄然と坐っている相手の姿を見守った。吐息をしたのは彼だろうか。それとも私....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
う。摩利信乃法師は夢のさめたように、慌しくこちらを振り向きますと、急に片手を高く挙げて、怪しい九字《くじ》を切りながら、何か咒文《じゅもん》のようなものを口の内....
」より 著者:芥川竜之介
。誰だ、お前は?」 もう一人の陳彩は、しかし何とも答えなかった。その代りに眼を挙げて、悲しそうに相手の陳彩を眺めた。すると椅子の前の陳彩は、この視線に射すくま....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
はそこへ坐ったなり、茫然と犬の屍骸《しがい》を眺めた。それから懶《ものう》い眼を挙げて、寒い鏡の面《おもて》を眺めた。鏡には畳に仆《たお》れた犬が、彼女と一しょ....
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
る間は、茂作を殺さずに置いたのです。 田代君はこう話し終ると、また陰鬱な眼を挙げて、じっと私の顔を眺めた。 「どうです。あなたにはこの伝説が、ほんとうにあっ....
蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
蛛《くも》が一匹、路ばたを這《は》って行くのが見えました。そこで※陀多は早速足を挙げて、踏み殺そうと致しましたが、「いや、いや、これも小さいながら、命のあるもの....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
と言う趣《おもむき》があったのかも知れません。ちょっと本筋へはいる前にその一例を挙げておきましょう。わたしの宿の主人の話によれば、いつか凩《こがらし》の烈《はげ....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
「じゃそうして頂戴よ。」 お絹は昨日《きのう》よりもまた一倍、血色の悪い顔を挙げて、ちょいと洋一の挨拶《あいさつ》に答えた。それから多少彼を憚《はばか》るよ....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
ど独り呟くように、こんな途方もない事を云い出した。 「細《こま》かい事実の相違を挙げていては、際限がない。だから一番大きな誤伝を話しましょう。それは西郷隆盛が、....
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
よりも見事だったとは申されませぬ。しかしわたくしはその途端《とたん》に多門へ扇を挙げてしまいました。つまり最初の一本の勝は多門のものになったのでございまする。わ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ろ》などは、誰よりも精巧な物であった。彼は腕を組んだまま、ちょいと羨しそうな眼を挙げて、その若者を眺めたが、やがて彼等の群を離れて、たった一人|陽炎《かげろう》....
捨児」より 著者:芥川竜之介
それがややしばらく続いた後《のち》、和尚は朱骨《しゅぼね》の中啓《ちゅうけい》を挙げて、女の言葉を遮《さえぎ》りながら、まずこの子を捨てた訳を話して聞かすように....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
執《と》りながら、気違いになるくらい痒《かゆ》い思いをした。とにかく当分は全力を挙げて蚤退治《のみたいじ》の工夫《くふう》をしなければならぬ。…… 「八月×日 ....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
南北両欧に亘《わた》って、姿を現したと云う記録は、甚だ多い。最も明白な場合のみを挙げて見ても、千五百七十五年には、マドリッドに現れ、千五百九十九年には、ウインに....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
めぐりながら、いろいろな手ぶりをし始めました。或時は前へ立ったまま、両手を左右に挙げて見せたり、又或時は後へ来て、まるで眼かくしでもするように、そっと妙子の額の....