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振出
「振出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
振出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「放浪」より 著者:織田作之助
て来た時の所持金が僅か十六銭で、下寺町の坂で立ちん坊をして荷車の後押しをしたのを
振出しに、土方、沖仲仕、飯屋の下廻り、板場、夜泣きうどん屋、関東煮の屋台などさま....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
片付けて薄い座蒲団を出した。林之助は長火鉢の前に坐らせられた。お里は茶をいれて、
振出しの箱のなかから金平糖《こんぺいとう》などを出した。 「それでもよくいらして....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
蝶と斉しく、弥生の春のともだちに見える。…… 袖形の押絵細工の箸さしから、銀の
振出し、という華奢なもので、小鯛には骨が多い、柳鰈の御馳走を思出すと、ああ、酒と....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ら彼の少し皺めている眉のあたりを不安らしくながめた。 「ほんとうに気分が悪いの。
振出しでも買って来てあげましょうか」 「なに、それ程でもないのさ」と、紋作は軽く....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
れでよく分った。どうも支店長さん、いろいろ済みませんでした。後は小切手の番号から
振出人と裏書に書いた四本指の男の名前、それからその十分前にニッケルを預けていった....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
前、例の事件について調べることがあって迎えのために警官をキャバレー・エトワールへ
振出してみると、雇人は揃っているが、主人のオトー・ポントスが行方不明であるという....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ざっての、大事にさしゃった錦絵にそのままじゃ。後の節句にも、お雛様に進ぜさした、
振出しの、有平、金米糖でさえ、その可愛らしいお口よごしじゃろうに、山家在所の椎の....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
て紫の風呂敷を開いた上へ、蒔絵の蓋を隙かしてあった。そのお持たせの鮎の鮨を、銀の
振出しの箸で取って撮んだでしょう。 (お茶を注して来ましょうね。) と吸子を取....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
ないか。 考えても、考えても、考え切れぬ事である。循環小数のように、結局は元の
振出しに戻って来るのだ。 ああ、私は早くこんな問題を忘れて終いたい! ....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
ばかりでも面白くないというので、両親はわたくし共を連れて旅かせぎに出ました。まず
振出しに八王子から甲府へ出まして、諏訪から松本、善光寺、上田などを打って廻り、そ....
「鬼」より 著者:織田作之助
くから外出した序でに、銀行へ廻る。がもうその時は、小切手の有効期間が切れている。
振出人に送り戻して、新しい小切手を切ってもらうのがまた面倒くさい。 「そんなわけ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
あれば、にい、どこでどう、めぐり逢わんとも限らんもんや。したが、尼も、この奉公を
振出しに、それは、それは太いこと、苦労辛苦をしたもんや。」 ここで、長々と身の....
「影」より 著者:岡本綺堂
……じゃあ大変だが、まあ些っとばかりペンペンを仕込まれたのが因果で、先ず小田原を
振出しに、東海道を股にかけという程でもございませんが、大磯箱根や湯河原を流れ渡っ....
「放浪」より 著者:織田作之助
れて来た時の所持金が僅か十六銭、下寺町の坂で立ちん坊をして荷車の後押しをしたのを
振出しに、土方、沖仲士、飯屋の下廻り、板場、夜泣きうどん屋、関東煮の屋台などさま....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
除幕式をはじめ色々の祝典が催され、夜には盛んな提灯行列が行われて、今の野球々場を
振出しに、鶴巻町通りから矢来神楽坂を経、九段からお濠に沿うて宮城二重橋前まで、は....