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振切る
「振切る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
振切るの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
財布の重みで、大丈夫だと判ると 「参ろう。ここが迷惑致す。参ろう」 と、人々を
振切るようにして、外へ出た。一人が 「大作逃がすな」 と、いって、右源太の袖を....
「廃墟から」より 著者:原民喜
いる顔を認めた。瞬間、それを助けに行こうとは思ったが、工場の方で泣喚く学徒の声を
振切るわけにはゆかなかった。 もっと痛ましいのは嫂《あによめ》の身内であった。....
「斬られたさに」より 著者:夢野久作
ただ感服いたす。息災に御本望を遂げられい。イヤ。さらば……さらば……」 平馬は
振切るようにして若侍と別れた。物を云えば云う程、眼に付いて来る若侍の妖艶さに、気....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
まるで何か御祈祷をしているようであった。 翁から何か云われると、犬ならば尻尾を
振切るくらい嬉しそうに、 「ハイ。ハイ。ハイハイハイハイ……」 と云ってウロタ....
「夢鬼」より 著者:蘭郁二郎
配そうな顔をして駈寄って来たけれど、彼は、黙って松葉杖を受取ると、それらの人々を
振切るようにして、あてもない広い飛行場を、ピョコリピョコリと歩き出した。 頭の....
「春昼」より 著者:泉鏡花
」 「その二階のさ。」 「いんえ、違います。」 と、いうことは素気ないが、話を
振切るつもりではなさそうで、肩を一ツ揺りながら、鍬の柄を返して地についてこっちの....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
と留めて、人目があるから、石屋が石を切った処、と心づもりの納屋の前を通る時、袂を
振切る。…… お光が中くらいな鞄を提げて、肩をいからすように、大跨に歩行い....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ちゃあいまい。変なことだと思ったが、それでも米友は、そう言われると無下《むげ》に
振切るわけにもゆかない。
おもむろに釣道具を片づけている浪人の左右を見ると、蓆....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と期していたところとて、看過されて、ついに先方から注文をつけられてみると、それを
振切るのがまた一つの仕事になってくる。 触《さわ》って祟《たた》るほどのものな....
「植物人間」より 著者:蘭郁二郎
襲われていた。 (果して、そんなことがあり得るだろうか) どうしてもその疑問を
振切ることが出来なかった。そのくせ一方では (美しい筈だ。花のような美少女ではな....
「あの世から便りをする話」より 著者:海野十三
があるけれども、実は僕の妻が君に逢いたいそうで待っているから、替る」というので、
振切るようにして友達の霊は無くなりまして、今度は細君が出て来た。忽ち細君の声に変....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
かさぬかっ。己ら、この玄白を見殺しにするかっ。放せっ、仁十っ、市助っ」
二人を
振切るはずみ、玄白斎は、朽木の如く、倒れかかった。人々が
「あっ」
と、叫んだ....
「廃墟(一幕)」より 著者:三好十郎
にした物を、それじゃ、まるであんた! お光 ……(かじり付いた相手を猛烈な勢いで
振切る。ベリベリッと音がして、ちぎれたお光の片袖を手に握ったまませい子がはねとば....