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振落し
「振落し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
振落しの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鎮魂歌」より 著者:原民喜
のが人間なのか。人間の観念と一緒に僕はさまよっている。 人間の観念。それが僕を
振落し僕を拒み僕を押つぶし僕をさまよわし僕に喰《く》らいつく。僕が昔僕であったと....
「夢鬼」より 著者:蘭郁二郎
なことを考えていて、失敗したら大変だぞ) 黒吉は、大きく頭を振って、その心配を
振落し、葉子にちらりすると、何時ものように、するすると身軽く、天井のブランコに綱....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
、今日あたりきんが来たらきんに持たせてやろうと帯の間へ挿んで居りましたが、何処へ
振落しましたか見えませんから、又細々と文を認めおきんに渡し、それから直におきんよ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
一本の長い刀。 米友はギョッとして、何かまた、いたずら者の名残り、逃ぐるに急で
振落して行ったものだろう、見ぬふりして過ぎるのも卑怯なような気がしたから、ともか....
「父」より 著者:金子ふみ子
に叔母はその折れた櫛を挿して出かけて行った。そしてものの五分とたたないうちに櫛を
振落して叔母が帰って来た。 「それでよし、悪運が遁げてしまった。来年からは運が向....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
何だか顔はあかし、天狗にさらわれて行ったような気がした。袂に入れた桃の実は途中で
振落して一つもない。 そりゃいいが、半年|経たない内にその男は離縁になった。 ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
たから、驚いたろうじゃあないか。」と半は独言のようにぶつぶついう。 被った帽も
振落したか、駆附けの呼吸もまだはずむ、お館の馬丁義作、大童で汗を拭き、 「どうし....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
のは、手拭、蝦蟇口、皆無い。さまでとも思わなかったに、余程|顛動したらしい。門へ
振落して来たでしょう。事ここに及んで、旅費などを論ずる場合か、それは覚悟しました....
「秘密の庭」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
オ(フランスの画家)の仙女の国に遊ぶような気がした。それで、そうした淫蕩な妄想を
振落したいものと思って、彼は足早く敵の跡を追うた。すると草の中で木か石のようなも....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
葉は急に我が袂を探ると、重太郎に与ろうと思って折角持って来た燐寸は、何時の間にか
振落して了った。仕方がないと舌打しながら、倒れた戸の間から表を覗いて見ると、風も....
「審判」より 著者:カフカフランツ
実的な事柄だった。単純な話が形のゆがんだものとなってしまい、そんなものを自分から
振落してしまいたかったが、今は大いに思いやりを見せるようになった僧は、それを見逃....
「澪標」より 著者:外村繁
潜んでいるのを、私は前から知っている。私は何とかして、私の心からその忌わしい奴を
振落してやろうと、随分、無駄な努力をしたものである。しかし今の私はもうそいつから....