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振返る
「振返る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
振返るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
新田は二三度繰返して問いかけたが、令嬢はやはり窓の外の白椿と向い合ったまま、
振返る気色《けしき》さえ見せなかった。のみならず、新田が軽く肩へ手をかけると、恐....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
泰さんは場所が場所だけに、さては通り魔でもしたのかと思ったそうですが、慌てて後を
振返ると、今まで夕日の中に立っていた新蔵の姿が見えません。と、二度びっくりする暇....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
何にしても恐しい今の枝には蛭が生《な》っているのであろうとあまりの事に思って
振返ると、見返った樹の何の枝か知らずやっぱり幾《いく》ツということもない蛭の皮じ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
よ、」 と言いかける、口の莟が動いたと思うと、睫毛が濃くなって、ほろりとして、
振返ると、まだそこに、看護婦が立っているので、慌てて袂を取って、揉込むように顔を....
「春昼」より 著者:泉鏡花
んだ禅門、苦々しき顔色で、指を持余した、塩梅な。 これを機会に立去ろうとして、
振返ると、荒物屋と葭簀一枚、隣家が間に合わせの郵便局で。其処の門口から、すらりと....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
た時、息苦しいほど蒸暑いのに、颯と風の通る音がして、思わず脊筋も悚然とした。……
振返ると、白浜一面、早や乾いた蒸気の裡に、透なく打った細い杭と見るばかり、幾百条....
「古狢」より 著者:泉鏡花
た、いい容子ね、目許に恐ろしく情のある、口許の優しい、少し寂しい。」 三人とも
振返ると、町並樹の影に、その頸許が白く、肩が窶れていた。 かねて、外套氏から聞....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
様子で見ればや。」 と鼻の下を伸して、にやりとした。 思わず、その言に連れて
振返ると、つれの浪路は、尾花で姿を隠すように、私の外套で顔を横に蔽いながら、髪を....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
枚、 十とかさねて、 落葉の数も、 ついて落いた君の年、 君の年――
振返ると、まだそこに、掃掛けて廃したように、蒼きが黒く散々である。 懐かしや、花....
「女客」より 著者:泉鏡花
歩行き出すと、何だかうしろから追い駈けるようだから、一心に遁げ出してさ、坂の上で
振返ると、凄いような月で。 ああ、春の末でした。 あとについて来たものは、自....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
った半日。それそれ、言わぬ事か、それ言わぬ事か。 袖を合せて、前後に、ト斉しく
振返ると、洋傘は畳んで、それは奴に持たした。縺毛一条もない黒髪は、取って捌いたか....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
。」 「戻橋だな、扇折の早百合とくるか、凄いぞ、さては曲者だ。」 と、気競って
振返ると、髑髏が西日に燃えた、柘榴の皮のようである。連れて見返った、竹如意が茶色....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
三十二 「滝さん、滝さん、おい、おい。」 「私かい、」と滝太歩を停めて
振返ると、木蔭を径へずッと出たのは、先刻から様子を伺っていた婦人である。透かして....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
、足許も悪かろう、うんざりしたが、自分は、まあ、どうなり、さぞ困った顔をして、と
振返る…… とこの時…… 薄り路へ被った水を踏んで、その濡色へ真白に映って、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
。」 「またなぶらはる……発句も知らん、地唄の秋色はんて、どないしょ。」 と、
振返ると、顔をかくしたままの羅の紫を、眉が透き、鼻筋が白く通って、優睨みで凜とし....