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「振鈴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

振鈴の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仇討三態」より 著者:菊池寛
天の座禅に、とろとろと眠って、巡香の驚策を受くることも数少なくなった。正丑の刻の振鈴に床を蹴って起き上ることも、あまり苦痛ではなくなった。午前午後の作務、日中|....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
閉のたびに宿の人人へ大へん気の毒な思いをする。それにいまは決して必要もなさそうな振鈴が、軋《きし》む戸とともにその倍以上も鳴り響くので一層気がひけていらいらとさ....
物売りの声」より 著者:寺田寅彦
はいって来て全く散文的に売りつけることになったようである。 「豆やふきまめー」も振鈴の音ばかりになった。このごろはその鈴の音もめったに聞かれないようである。ひと....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
い誰にもまねの出来ないまずさがある処が身上と云うものだ。 そのうちに本館の方で振鈴が鳴る、式の準備が出来たのだ、そこで塾中で屠蘇を祝って万歳を唱えた。 それ....
新西遊記」より 著者:久生十蘭
る。修咒者は床に坐りこんで大きな円陣をつくり、凛烈たる寒風の吹きこむのにまかせ、振鈴や太鼓の伴奏で咒文の合唱がはてしもなくつづく。法皇は濛々たる線香の煙の氷のよ....
好色破邪顕正」より 著者:小酒井不木
女の腕にすがると、彼女の首はわずかに縦に動いた。 途端に、隣室の方で、無風流な振鈴の音が、響き渡った。二人ははッと美しい夢からさめた。多分それは、巡査たちを何....
法然行伝」より 著者:中里介山
立てて遠江の国笠原庄の、さくらの池という処へ身を沈めてしまった。静かなる夜は池に振鈴の音が聞えるということである。 法然がそのことについて言うよう。 「智恵が....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ろに、秘勅の壇を構え、昼夜、護摩を焚き、あぶら汗もりんりと、顔も焔にして、誦経、振鈴の精魂こめた修法僧は 小野ノ文観僧正。 法勝寺の円観上人。 および、浄....
私本太平記」より 著者:吉川英治
高氏もふと舞台の方を見ると、そこには、金モミ烏帽子、水干衣姿の白拍子が、両の手に振鈴を持って、忽然と、咲き出た物のように立っていた。 藤夜叉であった。 「……....
私本太平記」より 著者:吉川英治
日夜、勤めているのであろう。館の大廂からは護摩の煙が雲のように立ちのぼり、衆僧の振鈴や誦経が異様な喚叫をなして二条の町かどあたりまでも聞えてくるほどだった。 「....
世間師」より 著者:小栗風葉
は、私の姿など目にも留めない。 そのうちに閉場の時刻が来た。ガランガランという振鈴の音を合図に、さしも熱しきっていた群衆もゾロゾロ引挙げる。と、小使らしい半纒....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
同時に、職員室も、小使部屋も、いままでより広くあかるくなった。――時間をしらせる振鈴の音は以前にかわらず響いたが、「つるよし」のおばアさんたちのすがたは再びそこ....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
れが高原の草の上に横たわれる身にも駅路の夜明けを偲ばせた、暁かけて禅頂する人達の振鈴の響であろう。眼を開けると、片破月に照らされた天幕の布が夜露を浴びて、しっと....