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「挽く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

挽くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
思うと、手八の蒔直しで夜泊の、昼流連。祖母さんの命を承けて、妹連から注進櫛の歯を挽くがごとし。で、意見かたがたしかるべき嫁もあらばの気構えで、この度母親が上京し....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
止まっているのが覗かれる。 「きゅう、きれきれきれきれきれ。これは機械|鋸が木を挽く音」 「ふざけるの、よしよ。真面目な相談だよ。僕は知ってる」 「知ってる? ....
富士」より 著者:岡本かの子
で山の祖神の翁の上に人間の歳月の半年以上は早くも経ってしまった。 夏麻《なつそ》挽く、海上潟《うみかみがた》の、沖つ州に、船は停《とど》めむ、さ夜更けにけり。 ....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
、赤貧洗うが如きであった。 新助は仲仕を働き、丹造もまた物心つくといきなり父の挽く荷車の後押しをさせられたが、新助はある時何思ったか、丹造に、祖先の満右衛門の....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
トラッシュは生れました。彼は悪罵と鞭とに育てられ一疋前の犬となる前にすでに荷車を挽く擦傷のいたさと、頸環の苦しみを味いました。彼は生れてやっと、一年たつやたたず....
五重塔」より 著者:幸田露伴
踞み、悠々然と鑿を※ぐ衣服の垢穢き爺もあり、道具捜しにまごつく小童、しきりに木を挽く日傭取り、人さまざまの骨折り気遣い、汗かき息張るその中に、総棟梁ののっそり十....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
こにある。其一つだ、堆雪が刳れて岩壁との間に六、七尺の隙間が作られ、其処から臼を挽くような音と共に一団の霧がむらむらと舞い上るのを見た。下へ廻って覗き込むと暗い....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
の車を頼もうじゃアねえか、からかっちゃアいけねえぜ、東京者だって東京ばかりの車を挽くんじゃアねえ、此地え来て渋川で一円に一升の仲間入をして居る峯松だ、大概にしや....
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
其の時廿三歳でございますが、お坊さん育ちで人が良うございますから智慧も出ず、車を挽くより外に何も仕方がないと、辻へ出てお安く参りましょうと云って稼いで居りました....
松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
てまア……無理にという訳じゃアないんでげすが、お互に時節柄斯ういう訳になって車ア挽くんで」 美「酔って居るからお止しなさいよ、御飯を食べさせて帰しましょう、酔っ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
く、新築の工事は行く先に始まりかけている。そこに積み重ねた材木がある。ここに木を挽く音が聞こえる。寿平次らは本陣の焼け跡まで行って、そこに働いている吉左衛門と半....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
六 ええじゃないか、ええじゃないか 挽いておくれよ一番挽きを 二番挽きにはわしが挽く ええじゃないか、ええじゃないか ええじゃないか、ええじゃないか 臼の軽さよ....
自然現象の予報」より 著者:寺田寅彦
とも鉄道運河の大体の設計にはなんらの支障を生ずる事なかるべし。これに反して荷車を挽く労働者には道路の小凹凸は無意味にあらず。墓地の選定をなさんとする人には山腹の....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
するに石山新家の没落は眼の前に見えて来た。「お広さん、大層精が出ますね」久さんが挽く肥車の後押して行くおかみを目がけて人が声をかけると、「天狗様の様に働くのさ」....
古木」より 著者:豊島与志雄
次に、三段に伐り倒されました。眼通り四抱えほどの大木のこととて、足場を組んで鋸で挽くのが主な仕事でした。切られた幹は轆轤で吊して、たやすく地面に転がされました。....