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捉
「捉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
捉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十本の針」より 著者:芥川竜之介
のであり、あるいは芸術そのものである。――すなわちわたしたちの精神的飛躍の空中に
捉《とら》えた花束ばかりである。L'home est rien と言わないにもせ....
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
の後ろ姿。ただしこれも膝の上まで。少年はこの男に追いすがり、しっかりと外套の袖を
捉《とら》える。驚いてふり返った男の顔は生憎《あいにく》田舎者《いなかもの》らし....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
与えるかを想像した。あらゆる芸術家の享楽は自己発展の機会である。自己発展の機会を
捉《とら》えることは人天《じんてん》に恥ずる振舞《ふるまい》ではない。これは二時....
「影」より 著者:芥川竜之介
「あの窓は、――あれは、――」
陳は際《きわ》どい息を呑んで、手近の松の幹を
捉《とら》えながら、延び上るように二階の窓を見上げた。窓は、――二階の寝室の窓は....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
この時偶然彼の眼は、点々と木かげの苔《こけ》に落ちた、仄白《ほのじろ》い桜の花を
捉《とら》えた。桜! オルガンティノは驚いたように、薄暗い木立《こだ》ちの間《あ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
し。御止し。」
しかし梯子《はしご》を上《あが》りかけると、声はもう一度お蓮を
捉《とら》えた。彼女はそこへ立ち止りながら、茶の間《ま》の暗闇を透かして見た。
....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
い時でも、何度この裙子にすがったかわからない。が、これは思わず彼が手を伸ばして、
捉《とら》えようとする間もなく、眼界から消えてしまった。消える時に見ると、裙子は....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
をする勇気も出なかったのである。
すると突然一同の耳は、はっきりと意外な言葉を
捉《とら》えた。
「わたしはおん教を捨てる事に致しました。」
声の主はおぎんで....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
た。
すると字を書いた罫紙《けいし》が一枚、机の下に落ちているのが偶然彼の眼を
捉えた。彼は何気《なにげ》なくそれを取り上げた。
「M子に献ず。……」
後《あ....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
れから四五日たった後《のち》、――ある霜曇《しもぐも》りの朝だった。保吉は汽車を
捉《とら》えるため、ある避暑地の町はずれを一生懸命に急いでいた。路の右は麦畑、左....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
な好意を持たなかった。それにはすでに勝負の興味が、余りに強く彼等の心を興奮の網に
捉《とら》えていた。だから彼等は二人の力者《りきしゃ》に、代る代る声援を与えた。....
「少年」より 著者:芥川竜之介
代へ彼を呼び返した。彼はまず何を措《お》いても、当時の空想を再びする無上の快楽を
捉えなければならぬ。――
硝煙は見る見る山をなし、敵の砲弾は雨のように彼等のま....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
のため、臨時この旅団に加わっていた、第×聯隊の歩哨《ほしょう》の一人に、今し方|
捉《とら》えられて来たのだった。
この棟《むね》の低い支那家《しないえ》の中に....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
のである。
*
我我の悲劇は年少の為、或は訓練の足りない為、まだ良心を
捉《とら》え得ぬ前に、破廉恥漢の非難を受けることである。
我我の喜劇は年少の為....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
》と云う上童《うえわらわ》があった。これがいかなる天魔の化身《けしん》か、おれを
捉《とら》えて離さぬのじゃ。おれの一生の不仕合わせは、皆あの女がいたばかりに、降....