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捜る
「捜る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
捜るの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
で。 通道というでもなし、花はこの近処に名所さえあるから、わざとこんな裏小路を
捜るものはない。日中もほとんど人通りはない。妙齢の娘でも見えようものなら、白昼と....
「多神教」より 著者:泉鏡花
お沢 ああ、どうしましょう、あれ、(その胸、その手を捜ろうとして得ず、空しく掻
捜るのみ。) 媛神 それは幻、あなたの鏡に映るばかり、手に触るのではありません。....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
と天守を仰ぐ。 鐘の音。 夫人、従容として座に返る。図書、手探りつつもとの切穴を
捜る。(間)その切穴に没す。しばらくして舞台なる以前の階子の口より出づ。猶予わず....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
内へ行きましょう。可い塩梅に誰も居ないから。」 促して、急いで脱放しの駒下駄を
捜る時、白脛に緋が散った。お千も慌しかったと見えて、宗吉の穿物までは心着かず、可....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
な手を、突出した胸で拝むように組んで、肩を窄めながら、萌黄の綿てんの足袋で、畳を
捜るように出て来た。その中仕切――本格子の板戸を隔てて立った首が、ちょうど棚の福....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
浮橋の考えた通りに、それはお前の一存ではあるまい、主人に言い付けられてよそながら
捜るのであろうと言った。治六は決してそんな訳ではない、ただ一時の気まぐれに訊いて....
「好色破邪顕正」より 著者:小酒井不木
、あなたの一昨夜お訪ねになった大平家の捜索に行きましたところ、幸いにも、真犯人を
捜る手がかりとなる品を見つけたのですから。一刻も早くこれをあなたにお話しして安心....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
があって、その硝子栓には頭の方に黄金の飾りが付いている。やがて手は水入に届いた。
捜る様にしてそっと栓を抜いた。そしてチラッと振り向いて一目見るや否や、手早く栓を....
「箱根熱海バス紀行」より 著者:寺田寅彦
り噴出後の始末もあるので、夜もおちおち安眠は出来なかった。自然の不可思議な機構を
捜る喜びと、本能の欲求する睡眠を抑制するつらさとが渾然と融和した形になって当時の....
「現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
《うち》へ割り振ってくれたのです。御蔭《おかげ》で私もまだ見ない土地や名所などを
捜る便宜を得ましたのは好都合です。そのついでに演説をする――のではない演説のつい....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
って韓生に告ぐると、韓生肉を以てその犬を誘い寄せ縄で括り、絹を擣《う》つ石の下を
捜るに果してその家妻子以下の名簿一軸あり、生まれて一月にしかならぬ子の名はなし、....
「幼年時代」より 著者:室生犀星
川である手取川でも、お城下さきを流れる犀川でも、至るところの有名な淵や瀬頭を泳ぎ
捜ることが上手であった。 膳部職から下命があると堀はいつも四十八時間以内には、....
「女心拾遺」より 著者:矢田津世子
ては蹣跚けた。そして、唐突なその劬り深さから遠い記憶が徐かに甦えってきて、夫人は
捜るように、和んだ良人の横顔を見やるのだった。 良人が常にもまして優しく、こま....