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捨子
「捨子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
捨子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「捨児」より 著者:芥川竜之介
が変ると、今度も丈夫そうな男の子が、夫婦の間《あいだ》に生まれました。勿論悲惨な
捨子の記憶は、この間も夫婦の心の底に、蟠《わだかま》っていたのに違いありません。....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ま、とにかく、僕の身の上話を一応|訊いて下さい。第一に僕の人生の出発点からして、
捨子という、悲運なハンディキャップがついているんです。」 彼の語り出した身上話....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
がにや/\笑いながら曰うた。
「拾って来た? 何処で?」
野暮先生正に何処かで
捨子を拾って来たのだと思うた。爺は唯にや/\笑って居た。其は私生児であった。お春....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
しい大騒ぎ、胆も身に添わぬ気がしましたので、すぐに、戻ろうとしますと、道ばたに、
捨子――寒さに、泣くこえが、あわれでなりませぬで、拾い上げてまいりました。ね、か....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
村浩太郎という人が、僕の父親に違いない事がわかったのです。それまでは、自分が最初
捨子だったという事より外には何も存じませんでしたし、どこの人種だかも解りませんで....
「旅愁」より 著者:横光利一
中を察すると、矢代も困っている彼の様子に同情せざるを得なかった。そうかと云って、
捨子のようになっているA社のフィルムを見ては、それもまた気にかかり、引取人の現れ....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
おりあなたの工場へ、使してもらいますから、よろしく」 長官は、ことばを添えた。
捨子は悲し 話はかわって、その後の房枝はどうなったであろうか。 あのおそろし....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の姿は見えませんでしたが、お松は声をあげて、与八の名を呼ぶ勇気がありません。あの
捨子地蔵のあたりへ来ると、面《かお》を伏せて声をのみました。 こうして、お松と....
「蛍」より 著者:織田作之助
、あ、この子や、この子や、ねえさんこの子はあての子どっせ、七年前に寺田屋の軒先へ
捨子したのは今だからこそ白状するがあてどしたんえという椙の言葉に、登勢はおどろい....
「帝銀事件を論ず」より 著者:坂口安吾
百害あるだけのコケのお説法というものだ。 どこかの都立の産院だか、病院だかで、
捨子公認所をつくったそうだが、こういう工夫をいろいろとやる方に頭を使うべきである....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
美」というのであった。中村憲吉君がほめてくれた。回覧雑誌へは短い小説を書いた。「
捨子」というので書き出しは今でもおぼえている。 「夜はしんしんと更け渡り、人影絶....
「女侠伝」より 著者:岡本綺堂
。ただ心がかりは娘のことで、父をうしなって路頭に迷うであろうから、素姓の知れない
捨子を拾ったとおもって面倒をみて、成長の後は下女にでも使ってくれと頼んだ。李はこ....
「捨吉」より 著者:三好十郎
らかよ? 十六ぐれえだ よくわからねえ」 「自分の年がわからねえのか?」 「おら
捨子でのし 年あ わからねえ」 「
捨子? そうか」 「平太郎さが俺を拾つてよ も....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
お通は独りぼっちだ。あれやあ、嬰児のころ、寺へ泊った旅の侍が、置いてき放しにした
捨子じゃといった、可哀そうな女よ、武やん、ほんとに、俺が死んだら、頼むぞ」 「下....
「小説のタネ」より 著者:吉川英治
』 と言われたんです。それへ、むきになって、ちょうど、自分の家の近くの普門院に
捨子があったのを、或る朝、見に行って、
捨子を題材にして書いたんですよ。それも、親....