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「捨石〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

捨石の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
えぞ」 「へい」 猿も幽霊も頭をかかえて縮みあがった。半七はそこにころげている捨石に腰をおろした。 「先月の末に、照降町の駿河屋の女隠居がここで頓死した。貴様....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
られるために、私は自分ながらもどかしい程の廻り道をしなければならぬ。数限りもない捨石が積まれた後でなければ、そこには私は現われ出て来ない。何故そんなことをしてい....
」より 著者:島崎藤村
言うが……俺は身内を助けるから、こうして他人から助けられている。碁で言えば、まあ捨石だ。俺が身内を助けるのは、捨石を打ってるんだ」 「どうでしょう、その碁の局面....
丹下左膳」より 著者:林不忘
、右手を望めば、二本の杉の木があって――あとはどうにも読めぬが、苔むした大いなる捨石《すていし》のところより、左にはいり……とある」 「山の中の小みちが四つに合....
死体の匂い」より 著者:田中貢太郎
に二三の死体らしい物が漂うていた。私は足を止めて注意した。そのあたりの頭を出した捨石のごろごろした所には、戸板や衣類のようなものがごたごたとかかってそれが干あが....
」より 著者:寺田寅彦
涼しい松の影をこしらえて飽き足らず、下の蕃藷畑に這いかかろうとする処に大きな丸い捨石があって、熊さんのためには好い安楽椅子になっている。もう五十を越えているらし....
千代次の驚き」より 著者:豊島与志雄
のにゆすぶられて、まっくらになりました……。 二階から落ちて、玄関の植込の影の捨石に頭をぶっつけた千代次は、昏倒したまま病院にかつぎこまれたが、脳の内出血で、....
淪落の青春」より 著者:坂口安吾
もあり、再び見る祖国を涙の目で望んで、拾ってきた命だから、これからは新しい日本の捨石になって小さな理想の実現に命を打ちこむのだ、などゝ亢奮している男もないではな....
獅子は死せるに非ず」より 著者:小栗虫太郎
それから、終刊に就いては、もう一つ事情がある。 それは、「シュピオ」という捨石によって……、せめて一年間も刊行を続けたならば、あるいは他に、専門誌が生れは....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
どにも薄情なものだ。で、其方に予言して置く、間もなく小四郎に捨られるであろうぞ」捨石から腰を上げた秋安は、萩野を尻眼に睨んだが、そのままスタスタと歩き出した。一....
市川九女八」より 著者:長谷川時雨
追いながら、 「成田屋《ししょう》のうちの庭は、あすこらあたりに、大きな、低い、捨石があったっけが――」 と、自分でも思いがけない、話の本筋とは違うことを、ふい....
那珂川の鱸釣り」より 著者:佐藤垢石
那珂川に棲んでいる川蝦である。川蝦は、長さ一寸前後、藻蝦よりも少し大きい。川岸の捨石や石垣、沈床の間などを這い回っているから、短い棒の先へ、鳥の羽根を結びつけて....
不在地主」より 著者:小林多喜二
た。――健は始めての色々な経験で興奮していた。 人数が纒って来た。――今迄健が捨石のように廻って歩いていたのが、案外役に立った。 佐々爺や武田は、訪ねて行く....
すみだ川」より 著者:永井荷風
較した。 午頃《ひるごろ》まで長吉は東照宮《とうしょうぐう》の裏手の森の中で、捨石《すていし》の上に横《よこた》わりながら、こんな事を考えつづけた後《あと》は....
妖影」より 著者:大倉燁子
ないか、と絶えず不安に襲われて居りましたのです。 ところがある日、庭を散歩して捨石につまずき転んだ拍子に、娘は息が止ってしまいました。医者は無論死んだと云いま....