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捲き上げる
「捲き上げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
捲き上げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
ょう……大きな石臼みたいですよ……そいつがジリジリ下まで降り切ってしまうと、また
捲き上げるんです」 「なるほど、最近捲き上げたのはいつですか?」 「昨日の午後で....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
」 伸子も、真面目に短い単純な文章をよんだ。けれども、伸子にはアルのきつく舌を
捲き上げる発音がうまく出来ず、首をふるように力を入れていっても、それはエルに近い....
「青年」より 著者:森鴎外
暫く無言で歩いている。 両側の店にはもう明りが附いている。少し風が出て、土埃を
捲き上げる。看板ががたがた鳴る。天下堂の前の人道を歩きながら、大村が「電車ですか....
「三月八日は女の日だ」より 著者:宮本百合子
をこめて、 ――ありがとう! と云った。 あなたが今夜来られたのは満足です。
捲き上げるような拍手とインターナショナル第一節の奏楽が起った。演説が終ったのだ。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
こなんと跪《かしこ》まり、おもむろに琵琶を取り上げてキリキリと転手《てんじゅ》を
捲き上げると、その傍らに介抱気取りで両手を膝に置いて、端然と正坐しているのが清澄....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
》の庇《ひさし》を渡り、そこに腹這《はらば》って手を延ばしさえすれば、楽々と槍を
捲き上げることができる――と気がついてみると、それは面白い面白い、早く捲き上げて....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
して、だんだん冬が近づいて、それが散ると、寒い風がその落葉をつかまえて冷い空中に
捲き上げるのでした。霰や雪をもよおす雲は空に低くかかり、大烏は羊歯の上に立って、....
「神棚」より 著者:豊島与志雄
出して、酒の継ぎ足しをお久に頼んだ。そして皆でなお詳しく相談し合った。お久は金を
捲き上げることに最も賛成だったし、池部はひっ叩くことに最も気が向いていたし、俺は....
「魔都」より 著者:久生十蘭
いわせると、烈しいのは旦那方の方さ。皇帝が鷹揚なのをいい事にして、日に二万三万と
捲き上げるんだから、これァなかなか烈しい」
といって言葉を切り、
「こう言っち....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
るけれど、雀右衛門という男は、この頃の政府の役人のように権柄づくで賄賂を人民から
捲き上げるのを常習としていた。そして酒の上が甚だよくない。宴席の口論から、同僚を....
「瘤」より 著者:犬田卯
そういう村民の無力、意気地なさを嘲笑するもののように、さらに彼らの無けなしの金を
捲き上げる計画は次から次へと実施されはじめた。村社の修復、屋根がえ、学校長への大....
「廃墟(一幕)」より 著者:三好十郎
や闇ブローカーなど――それも大概親分株の連中をおどかしちゃ――いいえ、それが金を
捲き上げるためとは限らないの。ただ、変な事をしておどかすんだわね。……こないだも....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
うことも迂濶に信用はできまいからね。田舎者の物だというんで変なけちをつけて、安く
捲き上げるつもりかなんかしれやしないからね。……真物かもしれないぜ」 「いやどう....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
はしょげ返って涙をこぼしながら首を垂れていました。こんな幼い者をおだてて貴重品を
捲き上げるなんて罪悪だと私は憤慨し、小母さん達というのが憎くなり、公高が可哀想で....