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捲き返し
「捲き返し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
捲き返しの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「未来の天才」より 著者:豊島与志雄
、ゆらゆらと崩れるかと思うと、横へ平たく拡がってゆき、その末がなだれ落ちる恰好に
捲き返して、そのまますっと消えていった。そんなことは珍しかった。珍しいというより....
「月明」より 著者:豊島与志雄
ふり立てながらざざざざと寄せてくるかと思うまに、頂辺《てっぺん》からどっと崩れて
捲き返した。それが無数に連って、松林と砂丘との真直な九十九里ヶ浜を、眼の届く限り....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
落ちたものがあった。一枚の絵葉書だった。松が二三本並んだ砂浜の向うに、大きな波を
捲き返してる広々とした海があった。周平はそれを一寸眺めた。下の方に刷り込まれてる....
「初秋海浜記」より 著者:豊島与志雄
ていると、ふと、雨滴の音が耳についてきた。遠くごーっと地響きをさせ、近くざーっと
捲き返してる、二様の波音の間に交って、そして金属性の虫の声の合間に、ぽたりぽたり....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
凄愴なおめきが応えた。無数な影が崩れ立つ。しかし、蜘蛛の子と逃げちるものも、すぐ
捲き返して来ては、捕方の背後をつく手段に出たり、また、どこからともなく、石の雨を....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
笠置はまもなく陥ちて、天皇以下、捕虜すべて都送りとなったので、俄に、全軍二万は、
捲き返して、狭隘な赤坂城一つの下へ、ひしめき寄って来たのであった。 十月半ばで....
「随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
時代、そしてまた、或る一つの「悪の時代」ともよべる世代だった。 尊氏が九州から
捲き返して「湊川帖」の湊川決戦となるまえに、正成の心境と立場とを、私は私なりに書....
「童話」より 著者:室生犀星
、末枯れた崖の岸を歩いて行った。風があると見え崖の草は葉裏を波がしらのように白く
捲き返しながらいた。 「お前、何をそんなに見ているの、すこし寒いじゃないか?」 ....