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「捺す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

捺すの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
る神像を、衆人争って口吻す。あたかもわが国の風習、賓頭盧尊者の像を、手をもって撫捺するに異ならず。サンピエトロの堂内に、彼得法王の偶像あり。人争い、ひざまずきて....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
どった図紋なんだよ。実はあれが、|竜鋤の形で、トラケーネン血種という、高貴な馬に捺す烙印だったのだ。つまりクイロス教授は、あの画の中で、双体畸形こそ、嵯峨家の血....
偽刑事」より 著者:川田功
、決して頼まれたと云う訳じゃないんです。一寸お待ち下さい」 彼は掌で空間へ印を捺す様にして押し止めた。 「いいえ。そうは行きません。何の関係も無い貴下が、知ら....
誤った鑑定」より 著者:小酒井不木
釈した。且、彼女はそのとき妊娠中であったが、獄中で子を生んでは、生れた子に焼印を捺すようなものであるから、それやこれやで彼女は少なからず煩悶した。 「このソムマ....
春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
。 だが、玄関派は無産党であるから印絆纒などだす訳にはゆかない。名刺に、認印を捺すわけにもゆかないのだ。こんなわけで、三木はなんとしても分が悪い。かれこれする....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
「委細承知致した、然らば血判を」 大「宜しい」 と是から血を出し、我姓名の下へ捺すとは痛い事をしたもので、ちょいと切って、えゝと捺るので、忌な事であります。只....
業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
いれ》の証文に印形を突きは致しません」 蟠「黙れ、手前洒落に首と釣換えの印形を捺すか、誰が洒落に金を貸す奴があるか、出入の町人に天下の通用金百両と云う大金を貸....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
が持って居りますと、公用人が静かに印形を取出して奉行に渡し、奉行がこれを請取って捺すという掟ですから中々暇が取れます。其の内にお退の時計が鳴りますと、直ぐ印形の....
新茶のかおり」より 著者:田山花袋
の丘には躑躅が赤く咲いて居た。 初夏の空の碧! それに、欅の若芽の黄に近い色が捺すように印せられているさまは実に感じが好い。何となく心が浮き立って、思わず詩で....
お菜のない弁当」より 著者:本庄陸男
間が潰れる。するとタイムレコーダーは情容赦もなく遅刻の印しに赤い数字でがちゃりと捺す――そしてそれが差詰め勘定日の金高にビンビンと響いて来る。 「……とんでもな....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
『近代日本の婦人作家』ちゃんとしていていいこと。 そういえば、私が本のうしろに捺す印を黄楊《つげ》で手紙の字からこしらえて、いつか押しておめにかけたの覚えてい....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
乱暴な矢はその人心におびえを射こみ、動揺を起こし、大事の曙光に一|抹の黒き不安を捺すってしまった! もし向後渭山の城に妖異のある場合はいよいよ家中の者に不吉を予....
野槌の百」より 著者:吉川英治
ただは貸せねえよ。ゆうべも、話したとおり」 「だから、おめえの書いた証文へ、判を捺すよ。判も、ここに持って来ている」 「じゃ、家だけでなく、抵当物は、地面、造作....