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捺印
「捺印〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
捺印の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青木の出京」より 著者:菊池寛
、雄吉の顔面に現れた狼狽を見済すと、以前よりももっと冷たい声で、 「その裏の署名
捺印は、お前のに相違なかろうな」といった。雄吉はぶるぶる震える手で裏を返して見た....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
呂敷から大事そうに小菊版《こぎくばん》の帳面を出す。「これへどうか御署名の上|御
捺印《ごなついん》を願いたいので」と帳面を主人の膝《ひざ》の前へ開いたまま置く。....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
戸塚新蔵を証人として訊問し其余は却下す。 大正十三年四月七日 裁判長以下署名
捺印 支倉はこの決定を受取ると文字通り雀躍して喜んだ。恨み重なる庄司署長、今ま....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
ている中年過ぎた漁夫がいた。 学生や、吃りは、皆の名前をかいた誓約書を廻して、
捺印を貰って歩いた。 学生二人、吃り、威張んな、芝浦、火夫三名、水夫三名が、「....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
をしたので、川北老が、「はい。それでようがす」 と返事をした。 臼井は記名|
捺印《なついん》をして、その預り証を川北老に手渡した。川北老はそれをすみれ嬢に見....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
うそく》をともしてきてテーブルの上に置いた。ジャヴェルは腰を掛けて、ポケットから
捺印《なついん》してある一枚の紙を取り出して、何か書き始めた。
この種の婦人は....
「擬体」より 著者:豊島与志雄
るが、いいだろうね。調べてみてくれ。」 青木は金を調べ、前に置かれてる受領書へ
捺印した。 石村は仕事机から戻ってきてから、まだ突っ立ったままだった。青木は金....
「浅間噴火口」より 著者:豊島与志雄
南京虫其他寄生虫の無之事を証明候也」という珍妙なもので、某アパートの主人の名前に
捺印がしてあった。 「僕は嘘を云いました。友人が、南京虫がいると云って排斥するか....
「蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
万枚、供養のため、両国橋の上から大川に流したことがある。お札には、地蔵様のお姿が
捺印されている。
捺印の版木と墨は家にあった。版木を一万枚おすのは大変なことだった....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
政子の調度類や分捕品をまとめて荷造りした。そして離婚の書類一式にそれぞれ久五郎に
捺印させ、慰藉料として五万円その他の物品を支払うからそれでカンベンしてまけてくれ....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
参の店員たちや支配人に説かれて賛成の意を表し、妹の千香子に実印を出させて契約証に
捺印してしまったという。私は全身がふるえるほど、彼らの浅見と軽率が心外でならなか....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
るなら十日後に式を挙げる、という父に同意し、こうして想像したように、自分の運命に
捺印した。 ああ! 鬼畜のような敵の兇悪なもくろみがどんなものであったかを、た....
「米」より 著者:犬田卯
では供出して貰うことになる訳だな。」 書記は紙片へ書き込んで、それからおせきに
捺印させた。やがて調査の一行はどやどやと門口を出て行ったが、おせきは失神したよう....
「申訳」より 著者:永井荷風
れば其の際僕の身は猶海外に在ったから拙著の著作権を博文館に与えたという証書に記名
捺印すべき筈もなく、又同書出版の際内務省に呈出すべき出版届書に署名した事もないわ....
「澪標」より 著者:外村繁
参りましょう」 そう言って、看護婦が妻を呼びに来たのは、私が手術承諾書に署名、
捺印した、その直後のことである。妻は看護婦に連れられ、歩いて階下へ下りて行く。私....