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捻出
「捻出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
捻出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幸運の黒子」より 著者:海野十三
った。 いや、それよりも差し当たり大問題なのは、あと四十九回の治療代をどうして
捻出《ねんしゅつ》すべきかということだった。 これが五年前なら五千円の貯金があ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
傾倒した。 鳥渡申述べて置くが、支倉が未決数年に亘り、どうして裁判其他の費用を
捻出したかと云う問題だ。他の事は分らぬが、相当多額に達したであろうと思われる郵便....
「帰去来」より 著者:太宰治
十円、それも或る先輩からお借りしたものである。挙式の費用など、てんで、どこからも
捻出の仕様が無かったのである。当時、私は甲府市に小さい家を借りて住んでいたのであ....
「読書法」より 著者:戸坂潤
していると云ったような弱々しさである。ここに載せられた色々の插話は、著者によって
捻出されたものとは誰にも思えないだろうが、併し又、これほど瑣末な偶然なアトランダ....
「技術の哲学」より 著者:戸坂潤
に、初めて横たわるわけである。実際、性格を教養することは、何も他人と変った性質を
捻出することではないので、取りも直さず性格を有能化することが目的なのだが、そうや....
「清修館挿話」より 著者:林芙美子
姉の絵の具を買つてやつて自分はまた銀座あたりのカフエーなぞを歩いて、姉の製作費を
捻出していたとの事でありました。 七拾円あまりの貸した金も、かのひとは、美しい....
「憑きもの」より 著者:豊島与志雄
なくても、酒代なんていうものは、他の費用とちがって、少しく無理をすればどうにでも
捻出できる。要するに、今日という日のあることがいけないのだ。汝の享楽の如何に卑賤....
「方則について」より 著者:寺田寅彦
ではない。ただこの概念の変化によって新しい事実の発見されるごとに一々新しい方則を
捻出する事が避けられるのである。 一口に方則とは云うものの物理の方則でも色々の....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
大将に儲けさせる手はないからカストリのお通しはもつぱらコック氏のカンカラカンから
捻出して、大将の所得は平均してお通し十人前、といふところ、これでも昔日の比ではな....
「光は影を」より 著者:岸田国士
とは、肝腎の母でさえ気がつかずにいた。それほど、父は、痩せ我慢を張つて、生活費の
捻出に大童だつたのである。 が、ついに、危機が到来した。しかも、突如として、破....
「明治の五十銭銀貨」より 著者:服部之総
貨問題のしめくくりである。 贋貨問題というのは戊辰戦争で、官賊両軍ともに軍費の
捻出にくるしんでさかんに贋貨を鋳造した。会津藩と薩藩がその双璧で二朱金が最も多く....
「神代史の研究法」より 著者:津田左右吉
であって、彼はその譬喩の言から真実の意味を見出そうとして神は人なりという仮定説を
捻出し来ったのである。それから今一つの解釈は、事実の物語が伝誦の間におのずからか....
「戦争ジャーナリスト論」より 著者:戸坂潤
待するのは、控えねばならぬ。そんなに簡単に手軽に、優れた戦争文章などというものが
捻出され得るものではないからだ。 戦争小説や飛行小説を戦争ジャーナリズムと見る....
「挙国一致体制と国民生活」より 著者:戸坂潤
持ったものであるかどうか、夫が抑々根本疑問だと云わねばならぬのだ。 事件費一部
捻出のための一億二百万円に上る臨時増税は、なるべく大衆課税を避けたと称されている....
「一九三七年を送る日本」より 著者:戸坂潤
的な宣伝力に富んだ文化政策がないという不可思議は、ここに秘密を持っている。当局が
捻出する文化のイデーは、どれとして民衆の既得の文化意識を満足させるものがない。 ....