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掌
「掌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
やはり現代を超越した、黒の中折をあみだにかぶって、紫の打紐のついた懐中時計を右の
掌《たなごころ》の上にのせながら、依然としてポンプの如く時間表の前に佇立《ちょり....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
》とした裸の樹《き》を、遠近《おちこち》と疎《まばら》に描《えが》いて、その中に
掌《たなごころ》をうって談笑する二人の男を立たせている。林間に散っている黄葉《こ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
身ぶるいが出ずには居《お》られません。そこで私もとうとう我慢が出来なくなって、合
掌した手をさし上げながら、眼をつぶって恐る恐る、「南無《なむ》天上皇帝」と称《と....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
えると、そこには、了哲《りょうてつ》が、うすいものある顔をにやつかせながら、彼の
掌《てのひら》の上にある金無垢の煙管をもの欲しそうに、指さしていた。
「こう、見....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
いた。「その指《ゆび》繊長《せんちょう》にして、爪は赤銅《しゃくどう》のごとく、
掌《たなごころ》は蓮華《れんげ》に似たる」手を挙げて「恐れるな」と言う意味を示し....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
の顔を見守っていた。
「手を握っておやり。」
慎太郎は父の云いつけ通り、両手の
掌《たなごころ》に母の手を抑えた。母の手は冷たい脂汗《あぶらあせ》に、気味悪くじ....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
下《もと》に泣き惑《まど》ったマリヤや弟子たちも浮き上らせている。女は日本風に合
掌《がっしょう》しながら、静かにこの窓をふり仰いだ。
「あれが噂《うわさ》に承《....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
苦しそうに、伸ばして、かき集めた紙銭を両手で床からすくい上げた。それから、それを
掌《てのひら》でもみ合せながら、忙《せわ》しく足下へ撒きちらし始めた。鏘々然《そ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
うな燕の中を歩き出した。彼は娘と入れ違いに噴井《ふきい》の側へ歩み寄って、大きな
掌《たなごころ》へ掬《すく》った水に、二口三口|喉《のど》を沾《うるお》した。沽....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
え下さいまし。
どうか一粒の米すらない程、貧乏にして下さいますな。どうか又|熊
掌《ゆうしょう》にさえ飽き足りる程、富裕にもして下さいますな。
どうか採桑の農....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
も、憾《うら》むところはないではありませんか?」
※王《うんおう》の両大家は、
掌《たなごころ》を拊《う》って一笑した。....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
》ら容子《ようす》がちがっている。「天竺《てんじく》南蛮の今昔《こんじゃく》を、
掌《たなごころ》にても指《ゆびさ》すように」指《さ》したので、「シメオン伊留満《....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
には人間よりも化け物に近い女が一人、腰巻き一つになったなり、身投げをするために合
掌していた。それは「妙々車」という草双紙の中の插画だったらしい。この夢うつつの中....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
ると、うっかりしている間に、飯田橋の乗換えを乗越して新見附まで行ってしまった。車
掌にそう云うのも業腹だから、下りて、万世橋行へ乗って、七時すぎにやっと満足に南町....
「墓」より 著者:秋田滋
、一種名状しがたい、深い、云い知れぬ興奮で、わたくしの心を揺ぶるのでした。自分の
掌のなかに彼女の手を把り緊めていると、わたくしのこの胸には、それまで想像だもしな....