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掌の中
「掌の中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掌の中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
い機会を与えられているんだ。いや、君のように泰然と構えていては、その絶好の機会も
掌の中からどんどん逃げ出しそうだ。早くせんか、この黄色い南瓜《かぼちゃ》の君よ」....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
足で下りた。いけずな女で、確に小雀を認めたらしい。チチチチ、チュ、チュッ、すぐに
掌の中に入った。「引掴んじゃ不可い、そっとそっと。」これが鶯か、かなりやだと、伝....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ていった。 「これが、その証拠物件なんで……」 「…………」 老人は黙って僕の
掌の中を眺めた。そしてマッチの軸木の先で、それをいじりまわしていたがやがて顔をあ....
「振動魔」より 著者:海野十三
では、貴方は無事に生きてゆかれるのよ。貴方の生命は、一から十まで、みんなあたしの
掌の中に握られてしまってるのよ、今になってそれに気のついた貴方はどうかしてやしな....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
衆は恐さも忘れて、慾心まるだしに、金庫を目懸けて突進した。五十銭銀貨を一枚でも、
掌の中につかんだものは、強奪の快感の捕虜となって、ますます興奮を、つのらせて行っ....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
た。二人は諦めかねたものか、なおも屍体をいじくりまわしていた。 「おやア、なんか
掌の中に握っているぞ」 と、突然に、折井刑事が叫んだ。 「ナニ、握っているって....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
にお返しします」 ジュリアは一郎に悪意のないのを認めたらしく、急いで青い宝石を
掌の中に握ってしまうと、激しい感情を圧え切れなかったものか、ワッといって化粧机の....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
、まさか毒|瓦斯で呉越同舟の無理心中をやらかすとは気がつかなかったろう」 碇が
掌の中で壊した硝子のアンプルの中には、無臭の麻痺瓦斯が入っていたのである。 「烏....
「地球要塞」より 著者:海野十三
し。X大使」 簡単だが、ちゃんと文章が認《したた》めてあった。いつ、誰が、私の
掌の中に、この紙片を握らせたのであろうか。しかしこんなものがあれば、さっきからの....
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
あがって、六条少尉の方に手をさしのばした。そのとき中尉は、硬いひやりとしたものを
掌の中に感じた。見るとそれは鋼鉄と硬質ゴムとでできた「火の玉」少尉の義手だったの....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
手をにぎったりはなしたりしていたが、そのうちに右手の指さきを、かたくにぎった左の
掌の中にさしいれて、ごそごそやっていたかと思うと、左の
掌の中から、赤い紐のような....
「地底戦車の怪人」より 著者:海野十三
下に下りると、その林檎を手にとった。たしかにほんとの林檎だ。すてきな香りがする。
掌の中に、ひんやりとした感じがつたわる。そのとき、林檎を手にとってみていたパイ軍....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
貴女のお身体に附属ていてこそじゃが、やがて、はい、その光は、嘉吉が賽ころを振る
掌の中へ、消えましたとの。 それから、抜かっしゃりましたものらしい、少し俯向い....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
。」 お妻は懐紙の坊さん(その言に従う)を一人、指につまんでいった。あと連は、
掌の中に、こそこそ縮まる。 「それでね、あなた、そら、かなの、※形の、その字の上....
「わが母を語る」より 著者:上村松園
と大へん喜んでくれ、「おう、おう、さぞ寒かったやろ」とかじかんだ私の手を母の両の
掌の中にはさんで、もんでくれました。 母は昭和九年、八十六歳で亡くなりました。....