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掌中
「掌中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掌中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
して聞かせるのです。こう云う話を聞くにつけても、新蔵はいよいよこの間から、自分を
掌中に弄んだ、幽冥《ゆうめい》の力の怪しさに驚かないではいられませんでしたが、た....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
森おじさん――イヤ、これからはもうおじさんなんて呼ばないことにしよう――森虎造の
掌中に握られているようなこの島の中のことだから、僕の生命は無いものと覚悟していな....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
京警備司令官|別府九州造に変装してマニラ飛行聯隊空襲の夜の、帝都警備権を、自分の
掌中に握っていた怪人物だった。 帆村探偵対「狼」の、血飛び肉裂けるの争闘は、漸....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
は、黄金を探して歩いた二人だ。その黄金製品である金貨が、屍体となった赤ブイ仙太の
掌中から発見されたということは、極めて深い意味があるように思われたのだった。それ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
ると思ったことが、今や余命いくばくもないこの重傷者の唇から聞けないと分ると、彼は
掌中の珠を奪われたように、残念に感じたのだった。 といって、あの外国船について....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
私がこの無惨な光景をノートに取っている間、喬介は大胆にも直接死体に手を触れて
掌中その他の擦過傷や頸胸部の絞痕を綿密に観察していた。 「死後何時間を経過してい....
「地球要塞」より 著者:海野十三
。現在の事態は、そんなものではないぞ。おいピース提督、貴官及び貴艦隊は、いま私の
掌中ににぎられていることを知らないのか” 「それは分っている。しかし余には、そん....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
らの手によって破壊しさらねばならぬとは、なんたる皮肉な出来事であろうか。 わが
掌中にしっかり握っていると信じていたわが夫は、はたして真の万吉郎であろうか。はた....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
うした。何もお前の指図はうけない」 「そうはまいりません。貴下の生命は、いま私の
掌中にあるのですぞ」 といって、川上機関大尉は、血に染んだ日本刀を前に廻してき....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
髪から、その薔薇の薫のある蝦茶のリボン飾を掏取って、総曲輪の横町の黄昏に、これを
掌中に弄んだのを記憶せらるるであろう。 三十二 「滝さん、滝さん、....
「新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
蒙むるのは、いずれの階級のいずれの個人にも等しく有害である事は勿論であるが、其の
掌中に共同団体の近い将来の諸問題を握っている第四級民が甚だしく此の傷害を蒙むるの....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
廻るのではあるまいか。そんな疑念をも生じたのであった。 すりは一種特異の刃物を
掌中に持っている。それで巾着を切ることもあり、仕事の邪魔をした者に復讐的に顔面を....
「妖怪学」より 著者:井上円了
よろし)、その直径およそ五分ないし一寸くらいのもの二本を取り、その一本は右の手の
掌中に軽く握り、他の一本は左の手の
掌中に軽く握り、そのこれを握りたるものをして、....
「革命の研究」より 著者:大杉栄
な陰謀によって全フランスを蔽うていた時、そしてこの陰謀がフランスの三分の二をその
掌中に握っていた時、革命家等はうやうやしく教会を取り囲んで、それを革命の保護の下....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
に其処へ捨てようと云う気になれない。少くとも暫くの間は手すさびに指へ絡んでみたり
掌中へまるめてみたりする。 僅に咫尺を弁じ得る濃い白雲の中を、峰伝いに下っては....