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掏摸
「掏摸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掏摸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ましたから、もう矢も楯もたまりません。いきなり切符を車掌へ渡すと、仕事を仕損じた
掏摸《すり》より早く、電車を飛び降りてしまいました。が、何しろ凄まじい速力で、進....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
と紅中(ホンチュン)をポンして、四(スー)のファンのテンパイになった京吉は、もう
掏摸どころではなかったのだ。 何も娘にいいつけて、尾行させたりしなくても、一言....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
膏汗で、ぬらめいた手で、夢中にしっかと引掴んだ。 道学先生の徳孤ならず、隣りに
掏摸が居たそうな。 「…………」 と、わなないて、気が上ずッて、ただ睨む。 ....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
の刑務所へ入って出来た最初の友達であり先輩だった。本名は五十嵐庄吉といい、罪状は
掏摸だとのことだった。 さて私は、その日から、痔の治療をうけることになった。何....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
この語に続いて小さな声で、次のような文句を附加えたものだ。「……たとい電車の中の
掏摸といえども、乗客から蟇口を掏りとったときは、その代償として相手のポケットへチ....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
らない。もしそれを怠るような者があれば、その者は真人間ではない。たとえ電車の中の
掏摸といえども、乗客から蟇口を掏り盗ったときは、その代償として相手のポケットへ、....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
と若い男は詫びて走り去ろうとするのを探偵は相手の腕をつかんで手許へ引張った。 「
掏摸だな。掏ったものを返せ」 と探偵は怒鳴った。相手は強力をもって暴れた。が、....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
烏啼の堅持する憲法としまして“およそ盗む者は、被害者に代償を支払わざるべからず。
掏摸といえども、財布を掏ったらそのポケットにチョコレートでも入れて来るべし”てな....
「共軛回転弾」より 著者:海野十三
うよ。器用な早業で、カンガルーの股燻製を一|挺、上衣の下へ隠しやがった。あいつは
掏摸か、さもなければ手品師だ」 「まあ、そんな早業をやったのかね、あの半病人のふ....
「流線間諜」より 著者:海野十三
」課長は噛みつくように叫んだ。 「そんならそうと、何故君は云わないんだ。そいつが
掏摸の名人かなんかで、猿を抱きあげるとみせて、手提から問題の燐寸を掏っていったに....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
は、蝮とか蟒蛇とかいう渾名のある女で、いつでも汽車のなかを自分のかせぎ場にして、
掏摸を働いたり、男を欺したりしていたのだ。今度も汽車のなかで心安くなった横浜の糸....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
バラケツとは大阪の人なら知っていよう。不良のことだ。 しかし、ヒンブルの加代は
掏摸はやらない。不器用で
掏摸には向かないのだ。 彼女の専門は、映画館やレヴュー....
「経験派」より 著者:織田作之助
彼は小説家だった。下手な小説家だった。その証拠に実感を尊重しすぎた。 彼は
掏摸の小説を構想した。が、どうも不安なので、
掏摸の顔を見たさに、町へ出た。 と....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
芋を餌に買って、ニヤニヤ笑いながら、ぐびりぐびり。 何でもそいつらを手馴けて、
掏摸や放火を教えようッていうんです。かかったもんじゃありませんや。 ところがね....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
下さいね」 陽子は呆気に取られていたが、この女は三越の店員でも何でもなく、女|
掏摸だったのかと思うと、いくらか安心した。盗んだ人が分れば、もう自分に嫌疑がかか....