掛値[語句情報] » 掛値

「掛値〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

掛値の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
うペトローヴィッチは言ったが、それと同時に意味ありげに唇を引き締めた。彼はひどい掛値を吹っかけることが恐ろしく好きだった。こうして不意に相手の度胆を抜いておいて....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
元のところへ、向うものが事情なら、これ以上割り切れない種子のところに詰め寄って、掛値なしの一騎打の勝負をしよう。この勝負を試すには、決して目的を立ててはいけない....
桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
|氏真を留守として自ら府中(今の静岡)を立った。総勢二万五千、四万と号している。掛値をする処は今の支那の大将達と同じである。 義元出発に際して幾つかの凶兆があ....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
出せという。公司、仲買人の持ってきた髪を、また六割か、五割に値切る。――仲買人、掛値を云うて持ってくる。私の親爺、昔の人、辮髪税、取られている。親爺、辮髪切りた....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
働きの少いのを見て取り、それから茶商に転じたという。時間の正しい人で、すこしでも掛値すれば、ずんずん帰って行くという風であったとか。幾人かの子に店を出させ、存命....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
服店、今の三越)をいおう。大通りをはさんだ両側の屋根看板に、「呉服物類品々、現金掛値なし」と、筆太にしたためた下から、または井げたの中に、「三」と染め抜いた暖簾....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
念でございます」 侍「御亭主やこれはどの位するな」 亭「へい、有難う存じます、お掛値は申上げませんが、只今も申します通り銘さえございますれば多分の価値もございま....
露肆」より 著者:泉鏡花
三銭でございやす。」 「高い!」 と喝って、 「手品屋、負けろ。」 「毛頭、お掛値はございやせん。宜しくばお求め下さいやし、三銭でごぜいやす。」 「一銭にせい....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
という架空な尊厳も、眼中にいれていない。お前の持てるだけの力量と、オレの力量と、掛値なしの裸でテンビンにかゝってみようじゃないか。オレの重さを対等に受けとめられ....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
ない内気者――。人中と来ては、女学校にさえ行く事が出来ない――と云っても、それが掛値なしの真実なのであるから、当然そこには家庭教師が必要となって、工阪杉江が招か....
都の眼」より 著者:竹久夢二
こは山の手の高台で、門のある家がずらりと並んでいるのでした。 二十四番地、都は掛値をする所だから、なんでも半分に値切って、十二番地、だなんて、村で物識の老人が....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
かも、それを単に雑音と思うと大間違いで、それはつまらん、というつぶやきがその人の掛値なしの全部の意見であったりするから、それを録音で聞きとることができる道理がな....
縁談」より 著者:佐藤垢石
し、家柄はよしさ』 『正体はなんだ』 『物持ちの娘だ』 『歳はいくつになる』 『掛値なしの三十四歳だ。僕が、独身ならばと内心思っているのだけれど――』 『いやに....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
しまいし。」 大潟で漁る名物だ、と八郎が私に云った。 「幾干なの。」 「さあ、掛値は言わんぞね。これで……さあ――」 この掛値がまた名物だ――と八郎は話しな....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
たすと、ちょいとした間の甘いお楽が、 泡立つ毒、苦い胆の汁になります。 そこには掛値もなければ、負けることもありません。 お犯しなすった罪だけは、お償なさらなく....