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掛布団
「掛布団〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掛布団の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「山吹町の殺人」より 著者:平林初之輔
にあるキミとは請負師の木見のことではなかろうか」 「屍体《したい》にはメリンスの
掛布団をかけて一見眠っているように見せかけてあった。兇行の発見を長びかすための犯....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
たらむしろ嫌らしいと思う。臥裸婦というわけのわからぬ名題によって、船底枕に友禅の
掛布団、枕もとに電気スタンド、団扇、蚊やり香、しかしてあまりの暑さに臥裸婦となっ....
「売春婦リゼット」より 著者:岡本かの子
がつくと何とも知れない涙が眼の奥から浸潤み出るのだ。いつかもこういう事があった。
掛布団の端で撥ねられた寝床人形が床に落ちて俯向きになっていた。鼻を床につけて正直....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
だから、処きらわずこちらを引っかいたりまたはなめまわしたり食い付いたりするから、
掛布団《かけぶとん》の間へ入れて寝かしてやる、無精によくねる、いくら寝ても飽きた....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ますが、御気分はいかが? 御気分は元気でしょうがおなかの虫はいかがな工合ですか。
掛布団を送り、只今筒袖のねまきになさる麻の着物とちゃんと袂のついた御新調とを送り....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
具をお置きになるというのは一工夫ですけれども、先頃の夜着をおいておおきになって。
掛布団の方は近々又もってかえりましょう。そしてよく乾して手入れしようと思います、....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
きましょう。ガラスの飛び散るのやいろいろは厚い夜具をかぶればいくらかいいし、煙も
掛布団の裾がたたみに密着するように、しかも空気がなるたけあるように、ふところを大....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
、縁側の障子に日が射して来た。炬燵の中からむくむくと猫が起き出して、一寸鼻の先を
掛布団の端から覗かしたが、いきなり室の真中に這い出して、手足を踏ん張り背中を円く....
「春」より 著者:豊島与志雄
ようによって、或は赤っぽく、或はだだ白い。 或る夜、六人のうちの一人が、ふいに
掛布団をはねのけて飛び起きた。 「地震だ。」 その咄嗟の本能的な叫び声に、却っ....
「母親」より 著者:豊島与志雄
、大したことではない。独身の貧しい彼のことだ。押入の片隅から、古ぼけた炬燵と薄い
掛布団とを取り出し、ぱっぱっと埃を払い、炭火を入れれば、それでよい。日当りのよい....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
、部屋を朦朧と照らしていた。 屏風の内側には箱から出された生贄の女澄江の姿が、
掛布団を抜いて首から上ばかりを、その燈火の光に照し出していた。 そうしてそれの....
「運命のSOS」より 著者:牧逸馬
電の交換はなかったのか」 「五月蝿いなあ」エヴァンスは不平らしく、一そう深ぶかと
掛布団を引っ張って壁の方を向き乍ら、「喧嘩したよ。生意気な船なんだ」 「何国《ど....
「幽霊」より 著者:小野佐世男
った。 私はまた目をつぶった。だがどうしたことか少しも眠くない。と、その時だ、
掛布団の足の先の方にものの動く気配を感じたのは……。猫でも迷いこんできたかと、私....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
に、酒ますます味を加う。天幕は張らずに敷きて、一同その上に臥す。焚ける火が一同の
掛布団也。 三 大雪山の第二夜 塩谷温泉の連中は、日帰りの出来るぐらい....
「審判」より 著者:カフカフランツ
ばならぬことがあるんだ」 まだ病人の上にずっと身体をかがめて、ちょうど壁ぎわの
掛布団を伸ばしていた看護婦は、頭だけを向けて非常に落着いて言ったが、それは、怒り....