掛矢[語句情報] » 掛矢

「掛矢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

掛矢の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
い掛けるものだから少しも要領を得ないのさ。たまに分るかと思うと鳶口《とびぐち》や掛矢の事を聞かれる。西洋の鳶口や掛矢は先生何と翻訳して善いのか習った事が無いんだ....
赤外線男」より 著者:海野十三
のいてゆくように聞えました。すると間もなく、向うの方で大きな響がしはじめました。掛矢でもって扉を叩き割るような恐ろしい物音です。それは今から考えてみますと、どう....
寺坂吉右衛門の逃亡」より 著者:直木三十五
、矢を射立てて、そこにいる人々を、威嚇するのが合図であった。正面の玄関の板戸が、掛矢の一撃で凄じい音の下に折れ砕けた。とん、たーあんと、矢の戸へ立つ音、庭へ走っ....
石狩川」より 著者:本庄陸男
を取った。それを木口に挾《はさ》んで一歩うしろにさがった。手許《てもと》にあった掛矢をふりかぶった。二度三度と叩《たた》きつけた。堅い枯れた木の矢は、ずしんと音....
超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
、この男の一喝に遭うといい加減な内閣は一と縮みになったものだから痛快だ。成る程、掛矢でブンなぐっても潰れそうもない面構えだ。取敢えず敬意を表するために、吾輩は山....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
左様でござります、なんにしても乱世でござりますから、盗賊も大袈裟《おおげさ》で、掛矢《かけや》の大槌《おおづち》を以て戸を表から押破って乱入致し、軍用金を出せ、....
火星兵団」より 著者:海野十三
また恐しく眺めつくすのであった。 新田先生は、退院の後、すぐさま甲州の山奥の、掛矢温泉へ向かった。 掛矢温泉といっても、知らない人が多いであろう。ここは温泉....
郷介法師」より 著者:国枝史郎
勢百人足らずである。それは晩秋深夜のことで寒い嵐がヒュー、ヒューと吹く。斧を担ぎ掛矢を荷い、槍薙刀を提げた様子は将しく強盗の群である。 行手にあたって十八九の....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
《シャトオ》の横手に廻ってみると、大公におかせられては、いまや、欅《けやき》の大掛矢を振い勝手口の階段の横について、石炭を汲み入れる二尺四方ほどの鉄扉に対して大....
雪柳」より 著者:泉鏡花
で、一本松、石磴の寺、その辺までは密と参りました。木戸をも閉めよ、貫木をも鎖せ、掛矢で飛込んでも逢いたい。心に焼くように、雪の家の空あたりが、血走る目で火の手に....