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掛茶屋
「掛茶屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掛茶屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
ねずみ》の緞子《どんす》の帯は大へん似合っていた。西日をよけた番神堂の裏に丁度腰
掛茶屋に外の人も居ず、三人は緩《ゆっく》り腰を掛けて海を眺めた。風が変ってか海が....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
分に扶《たす》けられながら門内にはいったが、人目を憚《はばか》る彼等は、客をよぶ
掛茶屋をよそに見て、鐘撞堂の石垣のかげに立った。 「どうだ、留。早速だが、なにか....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、やっぱり寒い」 稲荷のやしろに参詣して、二人はそこにある葭簀《よしず》張りの
掛茶屋にはいった。もうそろそろと店を仕舞いにかかっていた女房は、客を見て急に笑顔....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
えているのを見て、かなりの声高で話しながら歩いて来たが、やがて堤へ上がって一軒の
掛茶屋にはいった。茶屋も此の頃は休んでいるらしく、外囲いの葭簀《よしず》はゆうべ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
葉に埋められているのを、半七はこころよく眺めた。馬場に近いところには、小料理屋や
掛茶屋がある。流れの早い小川を前にして、入口に小さい藤棚を吊ってあるのが白井屋と....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
桜を観る。ひとえはもう盛りを過ぎた。紫衣の僧は落花の雪を袖に払いつつ行く。境内の
掛茶屋にはいって休む。なにか食うものはないかと婆さんにきくと、心太ばかりだと云う....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
た。問わせたまわば、その仔細の儀は承知の趣。 三 小次郎法師は、
掛茶屋の庇から、天へ蝙蝠を吹出しそうに仰向いた、和郎の面を斜に見|遣って、 「そ....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
丹と相向う処に、亜鉛と柿の継はぎなのが、ともに腐れ、屋根が落ち、柱の倒れた、以前
掛茶屋か、中食であったらしい伏屋の残骸が、蓬の裡にのめっていた。あるいは、足休め....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
だ一人、褄を折り緊め、跪いて、天女を伏拝む女がある。 すぐ傍に、空しき蘆簀張の
掛茶屋が、埋れた谷の下伏せの孤屋に似て、御手洗がそれに続き、並んで二体の地蔵尊の....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
と柱のみ、破の見える床の上へ、二ひら三ひら、申訳だけの緋の毛布を敷いてある。その
掛茶屋は、松と薄で取廻し、大根畠を小高く見せた周囲五町ばかりの大池の汀になってい....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
んでございましょう。」 勇美子も夜会結びの鬢を吹かせ、雨に頬を打たせて厭わず、
掛茶屋の葦簀から半ば姿をあらわして、 「石滝から来たのじゃあなくって。滝さんとお....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
里の近郷近在からも大へんな人出で、あの狭い海岸が身動きのできぬ有様じゃ。往来には
掛茶屋やら、屋台店やらが大分できて居る……。が、それは地上の人間界のことで、こち....
「恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
で、その途中には開帳を当て込みの休み茶屋が幾軒も店をならべていた。もとより臨時の
掛茶屋であるから、葭簀がこいの粗末な店ばかりで、ほんの一時の足休めに過ぎないので....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
佃島には先生、不孝者を持って多いこと苦労をする婆さんが一人ね、弁天様の傍に吝な
掛茶屋を出して細々と暮しています、子に肖ない恐しい堅気なんで。」 「何だい、それ....
「果物の幻想」より 著者:小川未明
初夏の頃、水郷を旅行して、船で潮来から香取に着き、雨中、佐原まで来る途中、早くも
掛茶屋の店頭に、まくわ瓜の並べてあるのをみて、これを、なつかしく思い、立寄って、....