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「掛軸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

掛軸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
世相」より 著者:織田作之助
になろう。 夜更けの書斎で一人こんな回想に耽っていると、コトンコトンと床の間の掛軸が鳴った。雨戸の隙間からはいる風が強くなって来たらしい。千日前の話は書けそう....
深夜の市長」より 著者:海野十三
に違いなかった。欄間を飾る伊藤博文公の額もブランと宙に下っているし、床の間からは掛軸が外され、青銅製の釣鐘の置き物まで、裏返しになっていた。――速水は僕の腕を握....
河明り」より 著者:岡本かの子
に天井硝子を見上げた。 合図があって、私たちは再び茶室へ入って行った。床の間の掛軸は変っていて、明治末期に早世した美術院の天才画家、今村紫紅の南洋の景色の横も....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
祖父や父もまずそのお仲間でございまして、歌麿のかいた屏風だとか、抱一上人のかいた掛軸だとかいうようなものが沢山にしまってありました。 祖父はわたくしが三つの年....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
まった離座敷だった。六畳敷きほどの広さの小ぢんまりとした部屋は床の間の基督受難の掛軸や、壁間の聖母の画像や違棚の金縁背皮の厚い聖書らしい書物など、宣教師らしい好....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
(この寺のではない)或案内者に申すべき事がある。君が提げて持った鞭だ。が、遠くの掛軸を指し、高い処の仏体を示すのは、とにかく、目前に近々と拝まるる、観音勢至の金....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
てもその色彩が複雑で、そして濃艶なのでございます。又お床の間には一|幅の女神様の掛軸がかかって居り、その前には陶器製の竜神の置物が据えてありました。その竜神が素....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
ばにむっつり坐りました。十五六ばかりの品物が記されました。硯石や香合。白磁の壺、掛軸や色紙。セーブルのコーヒセット、るり色の派手なもので私の嫁入道具にすると云っ....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
たしなんだ。私や他の兄弟は、句会に列席して、俳句をつくったり、何かの紀念日には、掛軸や額の大きさの紙に、寄書をした。父は私を殊に愛してくれた。夕方、玄関のベルが....
次郎物語」より 著者:下村湖人
したことは、すべて奥さんの心づくしであった。 いつ来て見ても変っていないのは、掛軸と額だった。掛軸には、和歌らしいのが、むずかしい万葉仮名で、どこからどう読ん....
光は影を」より 著者:岸田国士
聴いていた。多津は、どうする気かな?」 と、言つて、眼のやり場に困つたように、掛軸ひとつかゝつていない床の方を振り返つた。 「多津も多津ですが、その前に、僕の....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
に垂れていた。彼女はその枝振りを心ばかり矯め直して、正面にかけてある三社の托宣の掛軸を今更のように眺めた。座敷の隅々にも眼に立つような塵のないのを見とどけて、彼....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
の中は押入が多くて、よく片附いていました。床の間は一間で、壁は根岸というのです。掛軸は山水などの目立たぬもので、国から持って来たのですから幾らもありません。前に....
雪柳」より 著者:泉鏡花
間しさ、情なさに取詰めた、最後は、蜑女の絵が抜出したように取乱して、表二階の床の掛軸「喝」という字に、みしとくいつくと、払子をサッと切破いた、返す、ただ、一剃刀....
今日になるまで」より 著者:上村松園
のこのこ出掛けて行きました。殊に祇園祭には京都中の家々が競うて秘蔵の屏風、絵巻や掛軸などを、陳列しますからこの機会を逃さず、写生帖を持って美しく着飾って歩いてい....