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「掠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

掠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
尾生の信」より 著者:芥川竜之介
しい葉ずれの音ばかりを、ぼんやりした靄《もや》の中から送って来る。と、尾生の鼻を《かす》めて、鱸《すずき》らしい魚が一匹、ひらりと白い腹を飜《ひるがえ》した。....
報恩記」より 著者:芥川竜之介
う、腰の曲った紅毛人《こうもうじん》、妙国寺《みょうこくじ》の財宝《ざいほう》を《かす》めたと云う、前髪の垂れた若侍、――そう云うのを皆甚内とすれば、あの男の....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
きだったのですが、当時は勿論私にしても、ほんの不安の影ばかりが際《きわ》どく頭を《かす》めただけで、後はまた元の如く、三浦を相手に賑な盃《さかずき》のやりとり....
」より 著者:芥川竜之介
、再び薔薇に返って来た真昼の寂寞《せきばく》を切り開いて、この殺戮《さつりく》と奪とに勝ち誇っている蜘蛛の姿を照らした。灰色の繻子《しゅす》に酷似《こくじ》し....
路上」より 著者:芥川竜之介
滴《しずく》が頬に触れた。続いてまた一つ、今度は触るまでもなく、際どく角帽の庇を《かす》めて、糸よりも細い光を落した。と思うと追々に赤煉瓦の色が寒くなって、正....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
に浴していた。しかし――しかし彼は人間であった。 時々彼が谷川の石の上に、水を《かす》めて去来する岩燕《いわつばめ》を眺めていると、あるいは山峡《やまかい》....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
い。もし地獄に堕《お》ちたとすれば、わたしは必ず咄嗟《とっさ》の間に餓鬼道の飯も《かす》め得るであろう。況《いわん》や針の山や血の池などは二三年其処に住み慣れ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
》のような物が、ひらひら飛び立ったように見えたそうですが、それは事によると、地を《かす》めた蝙蝠《こうもり》だったかも知れますまい。その後で新蔵とお敏とは、ま....
百合」より 著者:芥川竜之介
しみながら、薄暗いロシアを夢みている。百合《ゆり》の話もそう云う時にふと彼の心を《かす》めた、切れ切れな思い出の一片《いっぺん》に過ぎない。 今年|七歳《....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
」 吐き出すように良人がこういった時勝負はきまっていた。妻は争い負けて大部分を奪《りゃくだつ》されてしまった。二人はまた押黙って闇の中で足《た》しない食物を....
私の父と母」より 著者:有島武郎
携わることは極端に嫌《きら》って、ことに軽文学は極端に排斥した。私たちは父の目を《かす》めてそれを味わわなければならなかったのを記憶する。 父の生い立ちは非....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
田園を踏み出して、その荒原に足を入れた。そこには彼の踏み進むべき道路はない。又|奪すべき作物はない。誰がその時彼の踏み出した脚の一歩について尤めだてをする事が....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
律と正義の 失せ果てしは四度目の世となりしとき、 そは鉄の時代、嘘と僞りの奴とてめ奪わん欲望に廉恥を忘れしときのことなり。 このときより腐れたる世界の暴力は ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
かれる……。』 『それが先刻爰に見えた、あの若者なのじゃ。』 『あれ、向うの峰をめて、白い、大きな竜神さんが、眼にもとまらぬ迅さで横に飛んで行かれる……あの凄....
良夜」より 著者:饗庭篁村
いうに、東京という所の凄じさ、白昼といい人家稠密といい、人々見合う中にて人の物をめ去らんとする者あり。肌へ着けたりとて油断ならずと懐中へ手を差し入れて彼の胴巻....