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掠れ
「掠れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掠れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「朱日記」より 著者:泉鏡花
開いて腰を落しつける。その前へ、小使はもっそり進む。 「卓子の向う前でも、砂埃に
掠れるようで、話がよく分らん、喋舌るのに骨が折れる。ええん。」と咳をする下から、....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
うのは? ああ奥さんのですな。いやどうも、有難うございました」 東屋氏の語尾が
掠れるように消えると、瞬間、緊張した、気不味い沈黙がやって来た。 東屋氏はそれ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ある。気が着けば、あの、かくれ滝の音は遠くどうどうと鳴って、風のごとくに響くが、
掠れるほどの糸の音も乱れず、唇を合すばかりの唄も遮られず、嵐の下の虫の声。が、形....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
と揺れるに連れて、ぶるぶると渠は身震いした。 「えへん!」 と揉潰されたような
掠れた咳して、何かに目を転じて、心を移そうとしたが、風呂敷包の、御経を取出す間も....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
へい。」 コトコトと杖の音。 「ええ……とんと早や、影法師も同然なもので。」と
掠れ声を白く出して、黒いけんちゅう羊羹色の被布を着た、燈の影は、赤くその皺の中へ....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
として見える。 蒼い空、薄雲よ。 人の形が、そうした霧の裡に薄いと、可怪や、
掠れて、明さまには見えない筈の、扱いて搦めた縺れ糸の、蜘蛛の囲の幻影が、幻影が。....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
中に――火取る玉、水取る玉……イヤア、」 と一つ掛けた声が、たちまち切なそうに
掠れた時よ。 (ハオ、イヤア、ハオ、イヤア、)霜夜を且つちる錦葉の音かと、虚空に....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
けこたえとまでもない溜息を深くすると、 「小県さん――」 冴えて、澄み、すこし
掠れた細い声。が、これには銑吉が幹の支えを失って、手をはずして落ちようとした。堂....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
もかくも、御両親の罰が当る――第一何の洒落です。」 「洒落……」 と引息に声が
掠れて、志を払退けられたように、ひぞりもし拗ねた状に、身を起してお京が立った。 ....
「露肆」より 著者:泉鏡花
「一銭にせい、一銭じゃ。」 「あッあ、推量々々。」と対手にならず、人の環の底に
掠れた声、地の下にて踊るよう。 「お次は相場の当る法、弁ずるまでもありませんよ。....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
な時の頼母しさ。顔を見ると、蘇生った心地で、 「やあ。」と掛けた声が勢なく中途で
掠れて、 「夜更けに恐縮、」 とやっと根こそぎに室を離れた。……扉を後ざまに突....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
にも別条はありません。」 「重畳でござる。」 と云う、落着いて聞くと、声のやや
掠れた人物。 「しかし大丈夫、立派な処を御目に懸けました。何ですか、貴下は、これ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
りましたのに、真実嬉しゅうございますわ。」 「私も嬉しいんです。」 何だか声が
掠れている。 「まあ、お世辞のいいこと。でも、いま、名をおっしゃられて震えました....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
いま私からは見えなかったのである。 「お達者でねえ……」 「いや、一向どうも。」
掠れ声して、 「もう、いつか、いつかから、ほんに逢いたい逢いたいと思うて、どれだ....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
品な唄を、高調子で繰返す稼ぎのせいか、またうまれつきの声調か、幅があって、そして
掠れた声が、気さくな中に、寂しさが含まれる、あわれも、情も籠って聞こえた。 此....