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「探偵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

探偵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
整然と並んだ机の前に、パイプの煙を靡《なび》かせたまま、悠々とモリス・ルブランの探偵小説を読み耽《ふけ》っている。が、保吉の来たのを見ると、教科書の質問とでも思....
」より 著者:芥川竜之介
彼は電話に向いながら、苛立《いらだ》たしそうに額の汗を拭った。 「誰?――里見探偵《さとみたんてい》事務所はわかっている。事務所の誰?――吉井《よしい》君?―....
或る女」より 著者:有島武郎
彼女は特別に毛色の変わった自分の境界《きょうがい》に、そっとうかがい寄ろうとする探偵《たんてい》をこの青年に見いだすように思って、その五|分刈《ぶが》りにした地....
婦系図」より 著者:泉鏡花
も、モオニング着用は何事だと、苦々しさ一方ならず。 曲角の漬物屋、ここいらへも探偵が入ったろうと思うと、筋向いのハイカラ造りの煙草屋がある。この亭主もベラベラ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
閉じたりするのを眺めて、仕舞には我慢がしきれな相に、私の言葉を奪ってこう云った。探偵でせえ無けりゃそれで好いんだ、馬鹿正直。 而して暫くしてから、 だが虫かも....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
腹に堪るものは食わなかったのです。――……つもっても知れましょうが、講談本にも、探偵ものにも、映画にも、名の出ないほどの悪徒なんですから、その、へまさ加減。一つ....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
あるいは殺人犯で、革鞄の中へ輪切にした女を油紙に包んで詰込んでいようの、従って、探偵などと思ったのでは決してない。 一目見ても知れる、その何省かの官吏である事....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
いて、動悸を圧え、潰された蜘蛛のごとくビルジングの壁際に踞んだ処は、やすものの、探偵小説の挿画に似て、われながら、浅ましく、情ない。 「南無、身延様――三百六十....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
に似て非なるものを頂いて。その癖、素銅の矢立、古草鞋というのである。おしい事に、探偵ものだと、これが全篇を動かすほど働くであろう。が、今のチンドン屋の極めて幼稚....
黒百合」より 著者:泉鏡花
るで。ああ遣って印をして、それを目的にまた、同好の士な、手下どもを遣わす、巡査、探偵などという奴が、その喜ぶこと一通でないぞ。中には夜行をするのに、あの印ばかり....
活動写真」より 著者:淡島寒月
を題材にしたものは、とかくに筋や見た眼が同一に陥りやすくて面白味がない。けれども探偵物となるとさすがに大仕掛で特色を持っている。しかしこれらの探偵物は、ただほん....
歯車」より 著者:芥川竜之介
「ええ、仕事もしているのです」 彼はじっと僕の顔を見つめた。僕は彼の目の中に探偵に近い表情を感じた。 「どうです、僕の部屋へ話しに来ては?」 僕は挑戦的に....
夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
幼い頃からで、産れながらに知っていたような気もする。 「夢野久作ってのが、頻りに探偵小説の様なもの――事実探偵小説の様なものであって、そん処そこらにある様な、単....
おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
る文壇|餓殍ありで、惨憺極る有様であったが、この時に当って春陽堂は鉄道小説、一名探偵小説を出して、一面飢えたる文士を救い、一面渇ける読者を医した。探偵小説は百頁....
活人形」より 著者:泉鏡花
り。 門札を見て、「フム此家だな。と門前に佇みたるは、倉瀬泰助という当時屈指の探偵なり。色白く眼清しく、左の頬に三日月|形の古創あり。こは去年の春有名なる大捕....