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控え
「控え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
控えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ら》には、血色のいい、中背《ちゅうぜい》の細銀杏《ほそいちょう》が、止め桶を前に
控えながら、濡れ手拭を肩へかけて、元気よく笑っている。これは風呂から出て、ちょう....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
が紋附でこそなかったが、見苦しからぬ羽織袴で、しかも膝のあたりにはちゃんと扇面を
控えていた。ただ、咄嗟《とっさ》の際にも私の神経を刺戟したのは、彼の左の手の指が....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
思召されたのでございましょう。若殿様は御笑顔《おえがお》を御やめになると、縄尻を
控えていた雑色《ぞうしき》に、
「これ、これ、永居は平太夫の迷惑じゃ。すぐさま縄....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ないお蓮は、子供のように犬を可愛がった。食事の時にも膳《ぜん》の側には、必ず犬が
控えていた。夜はまた彼女の夜着の裾に、まろまろ寝ている犬を見るのが、文字通り毎夜....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
も顔馴染《かおなじ》みの、髪を綺麗に分けた給仕頭《きゅうじがしら》が、退屈そうに
控えている。
「あすこに英語を教えている人がいるだろう。あれはこのカッフェで頼ん....
「葱」より 著者:芥川竜之介
おれは締切日を明日《みょうにち》に
控えた今夜、一気|呵成《かせい》にこの小説を書こうと思う。いや、書こうと思うので....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
る英吉利人《イギリスじん》さえ、紋附《もんつき》にセルの袴で、扇《おうぎ》を前に
控えている。Kの如き町家の子弟が結城紬《ゆうきつむぎ》の二枚襲《にまいがさね》か....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
ずにすませるのは不本意のことも確かである。云わば彼の心もちは強敵との試合を目前に
控えた拳闘家《けんとうか》の気組みと変りはない。しかしそれよりも忘れられないのは....
「路上」より 著者:芥川竜之介
問の守備でもしている砦《とりで》のような感を与えていた。
が、それだけの人間が
控えているのにも関《かかわ》らず、図書館の中はひっそりしていた。と云うよりもむし....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
する様になった。女たちのある者は、玉を飾って琴を弾《ひ》いた。またある者は、盃を
控えて、艶《なまめ》かしい恋の歌を唱った。洞穴は彼等のえらぐ声に、鳴りどよむばか....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
話し出したのを聞くと、成程二人は時と場合で、命くらいは取られ兼ねない、恐しい敵を
控えているのです。
元来あのお島婆さんと云うのは、世間じゃ母親のように思ってい....
「或る女」より 著者:有島武郎
佐の客間に吸い寄せられる若い人々の多数は葉子に吸い寄せられているのだった。葉子の
控え目なしおらしい様子がいやが上にも人のうわさを引く種《たね》となって、葉子とい....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
た時、相手の稽古着へ手をかけるが早いか、たちまちみごとな巴投げを食い、向こう側に
控えた生徒たちの前へ坐っていたことを覚えている。当時の僕の柔道友だちは西川英次郎....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
は一|時は神様も怨みました……人を呪いもいたしました……何卒その頃の物語り丈は差
控えさせて戴きます……。 大江家の一人娘が何故他家へ嫁いだか、と仰せでございま....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
る程度の霊視能力を恵まれて、折ふし他界の状況を瞥見することにもなる。彼等の背後に
控えて働くのは、通例|或る情深い霊的存在で、印象的に、絶えず必要な指導を与える。....