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控目
「控目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
控目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
自覚しない僕には痛い打撃であった。 昨日《きのう》会った時よりは気のせいか少し
控目になったように見える高木は、千代子と僕の間に起ったこの問答を聞きながら知らぬ....
「明暗」より 著者:夏目漱石
無言の男なので、彼女は思わずひやりとした。
簡単な挨拶が各自の間に行われる間、
控目にみんなの後《うしろ》に立っていた彼女は、やがて自分の番が廻って来た時、ただ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
は控え目という道徳を実行していたろう。お前は心にもなく善行をし過すことを恐れて、
控目に善行をしていたろう。然しお前は自分の欠点を隠すことに於ては、中々
控目には隠....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
けて、人をたばかって、人は寧ろそのたばかられることを歓ぶような、上質の蠱惑の影が
控目にさし覗いている。澄していても何となく微笑の俤があるのは、豊かだがういういし....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
はの、言うわけがあるからで。 けれども、あの女は、じたい、無口で、しんみりで、
控目で、内気で、どうして思う事を、さらけ出いて口で云えるような性ではない。因って....
「幼年時代」より 著者:堀辰雄
いられない幼年時代のささやかな幸福、――それをこの赤まんまの花たちはつつましく、
控目《ひかえめ》に、しかし見る人によっては殆《ほとん》ど完全な姿で代表しているの....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
トフはオットーほど美しい者を知らなかった。その繊細な手、綺麗な髪、生々しい顔色、
控目な言葉、丁寧な態度、細かく注意のゆき届いた服装、そういうものが彼の心を喜ばし....
「女大学評論」より 著者:福沢諭吉
束《おぼつか》なし。既に温良恭謙柔和|忍辱《にんにく》の教に瞑眩すれば、一切万事
控目になりて人生活動の機を失い、言う可きを言わず、為す可きを為さず、聴く可きを聴....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
られるのが怖気《おじけ》を促《うなが》す。かく何か弱点があって、自分《じぶん》に
控目《ひかえめ》になることの自覚があると怖気《おじけ》る。しかし容貌のごときは腕....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
な紳士としての体面を穢さずに、平生よく一晩のうちに飲んだ葡萄酒やポンス★の量を、
控目に述べても、今日では、馬鹿馬鹿しい誇張と思われるほどであろう。法律家という智....
「瘠我慢の説」より 著者:福沢諭吉
ょ》に隠《かく》してその生活を質素《しっそ》にし、一切《いっさい》万事《ばんじ》
控目《ひかえめ》にして世間の耳目《じもく》に触《ふ》れざるの覚悟《かくご》こそ本....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
持病がおありでしたから、お気の立った時などはおむつかしいのでしょう。お兄様は十分
控目にして、いつも謙譲な態度でいられますが、時には衝突なすったこともあるように聞....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
んじゃ困るな。) 納豆を売るわけにも行かず、思わぬ処でぎょっとする。 (ちっと
控目にしないか、第一|身体が堪らない。勝山さんも大層気にかけて心配してるぜ。 ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
く明るい月の光でさえ、
あの木下闇には照り込むことが出来ない。
所があの森の傍を
控目に光る
小さい火が通っているな。
どうしたと云うのだろう。
そうだ。小人だ。....
「俗臭」より 著者:織田作之助
中、市治郎、伝三郎、三亀雄にとっては、問題は自分らの弟の事である。兄弟愛の発露を
控目にしてよいということはないのだ。春松は、権右衛門なるかなと思った。之まで権右....